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2015/11/04
アカデミー賞短編部門受賞監督に聞くショートフィルム製作の経験 LA レポート インタビュー:クリス・タシマ氏

2010年に行われた、世界の映画業界で活躍する著名プロデューサーや監督への連続インタビュー。

長編を取りながらも短編映画を製作する意義とは?短編から学べる映画製作技術とは?ハリウッドや世界の映画業界で活躍する人々にお伺いしました。5年後でも色あせないインタビュー内容をお楽しみください。


 

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まずは、タシマ氏の経歴について聞いてみた

タシマ氏: 「私は、大学時代に少し、UCサンタクルズの映画学科に在籍したことがありました。しかし、そこで出会ったのは、「演技」でした。そこで、演技に集中した活動をしているときに、「ビザと美徳」の舞台と出会ったのです。ハリウッドのシアターで4週間の興行でした。もとともは、ショートフィルムではなく、13ページほどの演劇の項目だったのです。当時の舞台演出家が、この作品をショートフィルムにしてはどうか、とアイデアをもらい、自分でプロデュースをしました。ご存知の通り、アカデミー賞を獲得する成功を収めました。そこで初めて、ショートフィルム業界というものを知り、以後、アカデミー協会の短編部門委員にもなりました。具体的なタスクとしては、部門で応募された作品の選考をしますし、短編のあらゆる側面において参加しています。過去10年以上にわたり、毎年、実写部門とアニメーション部分の作品を選考しています。実写部門の選考対象になる作品は、年によって変わりますが、平均して60本~80本くらいでしょうか。アニメーション部門は、40本~50本のノミネート対象作品を選考します。アカデミー協会は映画祭ではないので、通常の応募はできません。認定映画祭や、規定のルールで選考対象になる作品を選考することになります。」

ショートフィルムの魅力は何ですか?

タシマ氏: 「ショートフィルムの魅力はやはり、作家が、自由な表現ができるのと、作ろうと思えば作れることです。フィルムメイカーとして言いたいことが表現できる可能な場所です。また、ほとんど、私が手がける作品は自身のルーツでもある日系アメリカ人の歴史です。教科書では無視されている歴史、話があるわけで、それらの物語には価値があります。内容に教育的価値があると、それに対応する団体から助成金を受けることも可能ですし、最終的に学校の授業で題材として取り上げられても、2時間の映画ではなく、ショートフィルムで短く、生徒にも見せやすいですね。」

ショートフィルム製作において、大事なポイントは?

タシマ氏: 「ショートフィルムで大事なのは、脚本ですね。良い脚本には、多くの協力者の理解を得ることができます。得にショートフィルムの製作企画で他人に協力を求める場合、見せるものは脚本しかないですし!(笑)お金もないし、スタッフも無償働きという環境ですが、それがスタートなのです。しかし、その脚本にスポンサー探しのヒントが隠れています。

「ビザと美徳」の場合、ユダヤ人コミュニティーの団体、日系人社会の団体、教育機関団体にアプローチしました。2番目に大事なのは、俳優の演技力ではないでしょうか。なぜかというと観客は、俳優を通じて物語をフォローしますから。印象深い演技には、観客が引き込まれます。また、映画祭や、ビジネスの観点からで話すと、(作品によって違いますが、)まず、作品の観客のタイプを想定することです。その時点で、プロデューサーとしてどういう方向にいけばいいか、大抵わかります。映画祭のタイプも知ることです。アカデミー賞への道を狙うなら、短編部門の規則を知るのは当然です。ノミネートされるまで、一回とも他の場所での放映、上映配信等は禁止されていますから。サンダンス映画祭は、インターネットの活用をよくしておりますが、アカデミー賞では作品発表が行われるまでは禁止されています。」

最後に、アカデミー賞受賞監督から、ショートフィルム製作に関わる人々へのアドバイス、メッセージを頂く。

タシマ氏: 「まずは、脚本がすばらしくなくてはならない。あとは、製作の周りにどんな 人たちがいるかも重要です。駄目もとで聞くだけでもいい。有名な俳優、クオリティの高いスタッフに声をかけるくらいはお金がかかりません。私が「ビザと美徳」を製作するとき、駄目もとで、ベテラン撮影監督のヒロ・ナリタ氏に撮影をお願いしました。私が小さい頃、良くテレビで映画を見ているとき、この日系撮影監督の名前をよく目にしました。彼は20年間において長編映画の世界で生きています。しかし、ショートフィルムは撮った経験は無かったばかりか、白黒フィルムで撮影をしたことが無かったのです!ほとんどのスタッフ、キャストはショートフィルム製作において、ギャラは全く無いか微々たるものです。しかし、有名な俳優も年をとれば、若手に座を奪われる。ベテランの技術者も同じです。彼らの創造性や、働く意識は高いので、ショートフィルムは、彼らが長編でできなかったことを逆に実現できる場所でもあります。もちろん、仕事でお金をもらうのが一番ですが、彼らにとっては、お金で無い「目的」もあるのです。このように、俳優に限らず、撮影監督、音楽家、編集者、衣装デザイナー、プロダクションデザイナーなど、経験を持っている人に声をかけるのを薦めます。オスカーを受賞した後に、扉は確かに開きました。しかし、何よりも大事なのはオスカーではなく、「情熱です」。時間を忘れるほど、没頭し、ストレスを抱えて、身体ともに燃え尽きる仕事がないと駄目でしょう。私にとってはそうですね。常に映画やプロジェクトに対して「情熱」を持っている人間でありたいです。」

 


クリス・タシマ氏

1998年、自らが主演、監督を務めたショートフィルム「ビザと美徳」で、アカデミー賞実写短編部門でオスカー受賞。以後、俳優、監督として活躍中。アカデミー協会委員、米国監督協会委員も勤める。1999年、記念すべきショートショートフィルムフェスティバル(当時は「アメリカン・ショートショートフィルムフェスティバル」)では、映画祭に参加したほか、昨年度、同映画祭ジャパン部門で優秀賞を獲得した落合兼監督の「ハーフケニス」には俳優として出演。


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