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2015/10/13
“ 仕事→短編という「健全なサイクル」 ” 平林勇氏(CM ディレクター・映画監督)に聞く CM と同じスタッフで作る短編映画は年に一度の“お祭り”  

〈CM ディレクターは、ショートフィルム(短編映画)を制作するのにすごく恵まれた環境にあると思います〉と話すのは平林勇氏(CM ディレクター/映画監督)。
同氏は、武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科を卒業後、ライトパブリシテイでグラフィックデザイナーを経験にフリーランスとして独立。After Effects のマニュアルを読破するなど独学で映像制作についてマスターし、CM ディレクターに。以後、様々なTVCM の演出を手掛る一方、そうした“仕事” と並行して「年1 本」のペースでショートフィルムも撮り続けており、その作品数は今年3 月に完成した最新作『OCTOPUS』で計18 本にのぼる。
平林氏の短編デビューは30 歳前後と“遅咲き” のスタートだったが、それが功を奏したという。〈CM で手に職を付けてから短編を始めたので、すごく「楽」でした。僕が「みんなで作りたいものを作ろう」と思ったとき、既に周りに同じ気持ちのスタッフが沢山いた。その意味で言うと、若い頃から自主映画を始めた人の中には、金策やスタッフ集めで苦労し、その後失速するパターンが少なくないので、20 代で映画を作らない方がいいと思います〉と経験則をもとにアドバイスする。

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「年に1 本、短編を作る」
同氏が短編映画を始めたキッカケは、映像制作における多くの領域をMac で実現できるようになったこと。また、デジタルカメラの進歩も短編を作り続ける環境の追い風となった。以降、自分自身に「年に1 本、短編を作る」というノルマを課してきた。〈日本では一般的に、映画=小説など文学的なものを映像化するといったようにストーリーテリングを重視していますが、僕の作品は彫刻や絵画、デザインがベースにあるため、作風がノーマルじゃない(笑)。よって、日本ではなかなか受け皿がない。そこで海外の映画祭に出品してみたところ、比較的コンスタントに入選するようになり、今ではSSFF & ASIA など国内の映画祭でも、僕の「居場所」ができてきました〉と平林氏。
オリジナリティあふれる作品群は、特に海外映画祭で評価が高く、各国の映画祭でグランプリをはじめ入賞しており、ベルリン・カンヌ・ベネチアの三大映画祭すべてで上映を果たしている。
日本では、今年6 月に東京・横浜で開催された「SSFF & ASIA 2015」のジャパン部門において『keshinomi』がノミネートされた。
なお、平林氏のショートフィルムは、CM(仕事)と同じスタッフで制作されている点が大きな特徴。彼らには“手弁当” で短編映画は参加してもらう代わりに、次の仕事の発注をギャランティ(保証)としている。〈短編作りは、いわば1 年に1 回やってくる“お祭り”。スタッフはメチャクチャ楽しんで参加してくれます。海外の映画祭にもみんなで赴き、思い切り楽しんできます。それと、同じスタッフで作ることのメリットとして、短編とCM を同じ現場で打ち合わせができる効率の良さもあります〉と平林氏。

ベルリン映画祭

但し、「CM の演出」と「短編の監督」はスタンスがまったく異なるという。〈CM はクライアントやエージェンシーが望む技術とクオリティの提供に徹することを大事にしています。一方、短編は完全なる“作品”。自分が作りたいものを作る。ですから、無理にCM を“作品” と言わなくても心が穏やかなんですね。とは言え、僕のショートフィルムの作風が、ときにCM ディレクターとしての仕事の営業妨害になってしまうケースもあったりしますが…(笑)〉とも。

 


 

東京西川CM「&Free」

劇場版「しまじろうのわお!」

現在、「リクルート/じゃらん」や「東京西川/ &Free」など長期にわたって担当しているCM 演出に加え、ベネッセ・こどもチャレンジのブランデッド・コンテンツ『しまじろうのわお!』(番組・映画)の総合演出を担当する。『しまじろう、わお!』は、TV 放映(毎週1 回30 分)のほか、“劇場版” をこれまで3 本公開しており、現在4 本目を制作中。さらに、グローバルをターゲットにした「しまじろう」のコマ撮アニメも進行中とのこと。〈海外映画祭にも出品し、評判が良ければ併催されるマーケットにも出したいと考えています〉(平林氏)
写真上から:「東京西川/& Free」
写真上から:「ベネッセ・こどもチャレンジ/しまじろうのわお!」


 

集大成の短編でアカデミー賞を
平林氏は現在、長編作品の実現に向けてシナリオやプロットを密かに執筆中とのこと。〈日本の映画祭における短編部門では、「若手監督の登竜門!」といったフレーズが使われます。それがすごく居心地が悪いなぁ、と。日本における短編制作は、長編を撮る前のステップというか…練習生のような扱いがほとんどで、イメージで言えば「軟式テニス」。僕自身、30 代の頃は良かったんですが、40 歳も過ぎると“風当たり” を感じるようになって、「そろそろ長編に挑戦しなければ」という切実な想いがある〉と話す。一方、これまでの短編制作で培ってきた経験やノウハウのすべてを注ぎ込んだ集大成的なショートフィルムを作り、その作品で「アカデミー賞」を狙うといった壮大な野望も抱いている。〈敢えて言葉にすると、みんなが集まってくれる(笑)〉と笑う。

 

“平林組” のメンバーとともに仕事→短編→仕事→短編というサイクルで映像制作を続ける同氏は、〈CM ディレクターだからこそ、それが“健全なサイクル” になっている〉と指摘。〈CM ディレクターはそこそこお金も稼げて、仕事がちゃんと回っているディレクターはスタッフも固定しています。
何より、周りのスタッフが映画を作りたがっている。CM はクライアントの課題を上手に解決するものですが、短編作りはゼロから生み出すためにアタマを使います。それぞれ異なる楽しさがある〉と続ける。
そして、広告業界関係者、特にCM ディレクターは「カンヌライオンズ」ではなく〈「カンヌ映画祭」を目指すべき〉と平林氏は提言し、〈どんどん短編を作って、映画祭などに出品した方がいいと思います。なんと言っても映画祭の主役は“監督” ですから。逆に、CM ディレクターとして一流なのに、作った短編が全然評価されず、地獄に叩き落とされる--そんな経験もできます。CM のスタッフや制作プロダクションは僅かに時間でクオリティの高いプレゼン用のV コンを完成させる能力を持っています。「映画だから」と構えず、その能力を活かして積極的にショートフィルム制作に参加して欲しい、と願っています〉と語る。

「平林勇」Web サイト 
Short Shorts Film Festival & Asia


 

お知らせ

本日10月13日から始まるシネマミュージアム -秋の特別上映会。18日に行われるワークショップは、カンヌライオンズ2015フィルム部門の審査員を務めた長谷部守彦氏を講師に招き、世界のマーケットを見据えた世界で評価される映像制作のポイントや、審査員が評価したポイントや、受賞の秘訣などを語るセミナーを行います!

日時:10月 18日 14:00-16:30

会場:東京都美術館 講堂

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作品公募情報

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2015年8月27日発行 CM 通信 No.4951 より掲載

[CM通信]
仕事&短編という「健全なサイクル」 =平林勇氏(CMディレクター・映画監督)に聞く

様々なTVCMの演出を手掛る一方、“仕事”と並行して「年1本」のペースでショートフィルムを撮り続けている平林勇氏(CMディレクター・映画監督)。その作品数は今年3月に完成した最新作『OCTOPUS』で計18本にのぼる。“平林組”の特徴はショートフィルムもCMも同じスタッフで制作されているのが大きな特徴で、彼らには“手弁当”で短編に参加してもらう代わり、次の仕事の発注をギャランティ(保証)し、海外の映画祭にもみんなで赴くという。なお、同氏は現在、長編作品の実現に向けてシナリオやプロットを密かに執筆中。

平林氏のフィルモグラフィー(短編映画)
   ① COCKROACH(2001 年/ 2 分)
② PENIS(2002 年/ 3 分)
③ HELMUT(2003 年/ 9 分)
④ TEXTISM(2003 年/ 11 分)
⑤ VS(2004 年/ 11 分)
⑥ Conversation with Nature(2005 / 5 分)
⑦ Doron(2006 年/ 16 分)
⑧ A Story Constructed of 17 Pieces of Space and 1 Maggot』(2007 年/ 14 分)
⑨ BABIN(2008 年/ 30 分)
⑩ aramaki(2009 年/ 26 分)
⑪ Shikasha(2010 年/ 10 分)
⑫ 5+Camera(2011 年/ 15 分)
⑬ 663114(2011 年/ 8 分)
⑭ Matou(2011 年/ 3 分11 秒)
⑮ NINJA & SOLDIER(2012 年/ 10 分)
⑯ SOLITON(2013 年/ 14 分)
⑰ Keshinomi(2014 年/ 15 分)
⑱ OCTOPUS(2015 年/ 25 分)
短編「keshinomi」
短編「663114」
短編「BABIN」
写真上から:
「OCTOPUS」「Keshinomi」「663114」「BABIN」

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