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10月23日『インぺリア(Imperia)』アジア・プレミア上映開催レポート
― 生成AIが切り拓く新たな映像表現の可能性
2025.10.23
2025年10月23日(木)、東京都写真美術館において、ドイツの作曲家・映画監督 マルセル・バルソッティ(Marcel Barsotti) が手がけた100%生成AIによるSFショートフィルム『インぺリア(Imperia)』のアジア・プレミア上映が行われました。

本上映は、「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2025 秋の国際短編映画祭」の一環として実施されたもので、10月26日(日)に赤坂インターシティコンファレンスで開催される国際会議「AIと映像制作の未来」に登壇予定のマルセル・バルソッティ監督と、共同脚本を務めた妻の グンドゥラ・バルソッティ=バストが来日し、登壇しました。上映された『インぺリア』は、全編が生成AIによって制作された36分のSF大作。
トロント国際平和映画祭で名誉トリビュート映画賞を受賞したほか、東京、ローマ、ユタ、パリなど世界各地の映画祭での上映が予定されています。
この日のプレミア上映には多くの観客が集まり、AIが生み出す壮大なビジュアルと独自の世界観に魅了されました。上映後、バルソッティ夫妻が登壇し、司会から以下の3つの質問が投げかけられました。

Q1. 『インぺリア』はすべて生成AIで制作されたとのことですが、どのようなプロセスで映画全体を形にされたのでしょうか?
マルセル・バルソッティ監督の回答:
「『インぺリア』は完全に生成AIによって制作されました。
これまでのアナログ的な映画制作とは根本的に異なるプロセスで、まず従来どおり脚本を用意し、その後のあらゆる段階にAIを活用しました。
映像デザインやキャラクター造形、編集、音響、さらにはDolby 5.1のミックスに至るまでAIを使っています。
特に多数の“モーフィング技術”を駆使し、何度もイメージを生成・変化させながら、他のどの作品にも似ていない独自の映像スタイルを作り上げました。
音楽の作曲やサウンドデザイン、AIボイスによる吹替もすべて自ら行いました。
AIは単なるツールではなく、私にとって新しい芸術的挑戦そのものです。」
Q2. グンドゥラ・バルソッティ=バストさん、共同脚本家として、この作品ではどのような部分に関わられたのでしょうか?
バルソッティ=バスト氏の回答:
「マルセルは常に1000ものアイデアを持っているんです。
私はまずその膨大なアイデアの中から、テーマに合うものを厳選し、物語の骨格を整えることから始めました。AIを使うとプロセスが技術的になりがちですが、私は特に人間の感情をどう保つかを意識しました。」
Q3. AIで映画をつくる時代が始まった今、お二人は「映画制作者としての創造性」や「人間らしさ」はどこにあると思われますか?
マルセル・バルソッティ監督の回答:
「AIは映画の世界を根本的に変えていくでしょう。
これからは、実写、CG、アニメーション、AI映画が融合した“ハイブリッド作品”が次々に生まれていくと思います。一方で、AIが進化しても創造性の核は人間にあることを忘れてはいけません。AIはあくまで強力な道具であり、それを導くのは人間です。感情や物語のビジョンを決めるのはアーティストであり、そこにこそ映画の魂が宿るのです。」上映後、観客からは「AIがここまでの映像を創り出せるとは驚き」「人間とAIの協働の在り方を改めて考えさせられた」といった感想が多く寄せられました。
36分間の壮大なSF世界と、AI技術が切り拓く新しい表現の可能性を目の当たりにした上映会となりました。
『インぺリア』は、今後も国内外の映画祭での上映が予定されています。
また、マルセル・バルソッティ監督とグンドゥラ・バルソッティ=バスト氏は、10月26日(日)に開催される国際会議「AIと映像制作の未来」 にも登壇予定です。



