2020年より、ソニー株式会社が、アカデミー賞短編実写部門への推薦につながるオフィシャルコンペティション(インターナショナル部門、アジア インターナショナル部門、ジャパン部門)をサポート。世界に向けて新しい感動を生み出そうとしているクリエイターの登竜門を支援していく、というメッセージを発信しました。

また、ソニー株式会社とソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社は共同で、新しい映像文化や潮流を探求するクリエイターのためのイベント「Creators’ Junction partnered with Xperia™」を開催。『2つ目の窓』『あん』『光』などで世界的に評価の高い映画監督の河瀨直美さん、アーティスト/ミュージシャンの常田大希さん(King Gnu/millennium parade)をゲストに迎え、映画祭代表でモデレーターの別所哲也とともに、映像クリエイティブの今と未来について語りました。

SSFF & ASIA 2020 オフィシャルコンペティション supported by Sony /
Creators’ Junction partnered with Xperia™

ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2020
オフィシャルコンペティション supported by Sony 受賞者コメント

インターナショナル部門 優秀賞

11月1日

チャーリー・マントン / 24:42 / イギリス / ドラマ / 2019年

息子を殺した男の死刑執行を見届けに向かう母親。彼女は男への復讐心と、娘との関係の溝に苦しんでいる。

監督:チャーリー・マントン

ロンドンを拠点に活動する脚本家兼監督。リンゼイ・ダンカンが主演を務めた本作は学生アカデミー賞で入賞した。現在は初長編映画の開発中。

受賞の感想

インターナショナル部門優秀賞のみならずグランプリまで受賞できたことを大変光栄に思います!この作品を作るために時間を費やしてくれたチームによる多大な協力のおかげです。未知数だらけだったこのプロジェクトに参加してくれたリンジー・ダンカンとソフィー・マイルズにも心より感謝しています。彼女たちのおかげてこの作品は完成しました。NFTSとサロウド・モリセットのサポートにも感謝します!

受賞理由

25分という尺を感じさせない力強さがあり、ストーリー、演出、キャスティングなど総合点の高い作品であった。
登場人物たちがそれぞれリアルで人間臭く、感情がヒリヒリと伝わってくる作品。伏線の張り方やエンディングまでのストーリー展開も素晴らしかった。

作品のおすすめポイント

この作品の根幹は母と娘の物語。何年も前に起きた悲しい出来事が彼女たちの関係にどう関与しているのかを考えました。米国の裁判システムは多種多様な意見に分かれる問題で、この作品の中でも死刑に対する賛否両論を描きました。

ご自身が影響を受けた作品や監督について

キャリー・フクナガやコーエン兄弟、ジェフ・ニコルズにインスパイアされました。皆、複雑な心境を持つキャラクター設定で説得力ある作品をつくる監督たちです。

アジア インターナショナル部門 優秀賞

授業の後で

チャールズ・シウジー・ドン / 15:01 / 中国、アメリカ / ドラマ / 2018年

中国のある都市に母と2人で暮らす8歳の少女、ミンミンの夢は学校に通うこと。娘の夢を叶えるため、母は仕事場である学校で盗みを働いてしまう。

監督:チャールズ・シウジー・ドン

ニューヨークを拠点とする監督。ニューヨーク大学ティッシュスクールオブアーツで学士号を取得し、最近、アメリカン・フィルム・インスティチュート(アメリカ映画研究所)の監督特別研究員に受け入れられる。本作はサンタバーバラ国際映画祭でプレミア上映され、長編ドキュメンタリーのデビュー作を製作予定。

受賞の感想

このような貴重な賞をいただけて大変光栄でです。予想だにしていませんでした。この作品を作るのは容易ではありませんでした。時間もかかりました。こうした大変な作業、努力を評価いただいた賞として、ショートショートの審査員の皆様に感謝します。そして本当に素敵なキャスト、クルー、特にシネマトグラファーのステファン・ナックマン、作曲家のアレックス・シムコックス、プロダクションデザイナーのマイク・フイ、そしてプロデューサーのブラントン・チョイにこの場を借りて心より感謝を伝えたいです。この賞は真に『授業の後で』を作り上げた皆への賞です。

受賞理由

互いに想い合う母娘を通じて中国における無国籍児問題と貧困問題の持つ悲劇性をショートフィルムらしい表現方法で見事に描いた作品であった。

作品のおすすめポイント

このん作品は数年前に中国で起こった社会的スキャンダルを基にしています。人々は運転手からお金をとろうと意図的に車にぶつかっていました。そのことは私にとって非常にショッキングで、脚本のクラスでスクリプトを書いてみるきっかけとなりました。何気なくオンラインで読んだ記事がこのような作品制作につながるとは考えもしませんでした。現在、この作品は世界の映画祭を回っています。世界中の人がこの作品を観て、楽しんでもらえたらと思います。

ご自身が影響を受けた作品や監督について

私が最初に恋に落ちた映画はジュゼッペ・トルナトーレの『ニュー・シネマ・パラダイス』です。私のコアに響きました。その瞬間から私がやりたいのは映画制作だったのです。マーティン・スコセッシも私の作品に影響しています。実話をドラマチックで、シネマチックなスタイルへと昇華させる彼の手法は、私のすべての作品において挑戦していることです。ショートフィルムの世界では、セリーヌ・ヘルドとローガン・ジョージの作品『キャロライン』と『モーゼ』を大変崇拝しています。短い時間の中で、シンプルですが効果的にストーリーを語るもっともすぐれた作品の一つです。

ジャパン部門 優秀賞

緑の雪

古川原 壮志 / 20:00 / 日本 / ドラマ / 2019年

ベッドの上で一日を過ごす寝たきりの老人。ある冬の夜、老人は窓の外に降る雪を見て思い出す。それは先立った妻との最後の時間。

監督:古川原壮志

1982年長崎県佐世保市生まれ東京育ち。カリフォルニア州 Art Center College of Design を卒業。2015 年から CluB_A 所属。 ミュージックビデオ、CMディレクターとして活動。カンヌライオンズ、釜山国際広告祭、Adfestをはじめとした広告祭で受賞、入賞多数。

受賞の感想

賞をいただけたこと、とてもうれしいです。ご協力していただいたスタッフ、キャスト、そして関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。大変な状況が続いていますが、こうして無事に映画を上映でき、また評価していただけたこと、映画祭スタッフ、審査員の方々に心から感謝しております。毎回作品を作る度に、良い作品とは一体何かと悩みに暮れます。これからも悩み続け、より良い作品を作っていけるように精進していきたいと思っております。どうもありがとうございました。

受賞理由

介護というテーマに正面から向き合い、演出に迷いを感じない作品であった。キャスティングや台詞も素晴らしく、映像の美しさも際立っていた。

作品のおすすめポイント

この映画を制作したきっかけは寝たきりの祖母とのやりとりからでしたが、実際に緩和ケアセンター、老人ホーム、リハビリ施設などで取材を行ううちに様々な人生の終末期があることを知りました。この映画の主人公はどこにでも実際に存在します。気持ちの良い映画ではないかもしれませんが、何かを感じたり考えが生まれる、そんな映画であってくれればと願っております。

ご自身が影響を受けた作品や監督について

ヴィム・ヴェンダース監督の『パリ、テキサス』。イ・チャンドン監督のポエトリー アグネスの詩。最近はミシェル・フランコ監督作品が好きです。

2021年のアカデミー賞のノミネート最終候補である「ショートリスト」に、SSFF & ASIA 2020で上映された6作品が入りました。
その内の5作品が「オフィシャルコンペティション supported by Sony」の部門で上映された作品です。
更に、『白い自転車(White Eye)』(監督:Tomer Shushan)、『プレゼント(The Present)』(監督:Farah Nabulsi)の2作品が第93回アカデミー賞短編実写映画賞にノミネートされました。

  • 白い自転車 White Eye

    Tomer Shushan / 0:20:28 / イスラエル / Tomer Shushan / 2019

  • Yes-People

    Gisli Darri Halldorsson / 0:08:35 / アイスランド / アニメーション / 2020

  • ビッツ Bittu

    Karishma Dube / 0:16:55 / インド、アメリカ / ドラマ / 2020

  • おやすみ Da Yie

    Anthony Nti / 0:20:34 / ベルギー、ガーナ / ドラマ / 2019

  • カパエマフの魔法石 Kapaemahu

    Dean Hamer, Hinaleimoana Wong-Kalu & Joe WIlson / 0:08:30 / アメリカ / アニメーション / 2020

  • プレゼント The Present

    Farah Nabulsi / 0:24:20 / パレスチナ / ドラマ / 2016

ソニーはクリエイティビティの
力を信じています。
創造力こそが、人を動かし、
世界を動かすと信じています。
変わりゆく世界に、新しい感動を
生み出そうとする人へ。