受賞の感想

数ある作品の中から『コーリャの目』が入選し受賞できたことは、私にとってとても大切なことです。映画祭そして賞を選んでくれた審査員の方々に感謝します。自分が正しい道を歩んでいるという確信を持つことができました。

受賞理由

映像・演出が素晴らしく、ショートフィルムとしての完成度が高い作品。人間関係の不確かさ・孤独というテーマをワンカット撮影により巧みに表現、また最後にはSNS画面を映し出すなどスマートフォンならではの演出が秀逸であった。

作品のおすすめポイント

この作品は、映画学校で制作した作品のひとつです。講師から「1コマで撮影し、最低2人の登場人物を使いなさい」という課題を出されたとき、非常に混乱しました。しばらく何を撮れば良いのか悩みましたが、ある日夢で「スラポフスキーを読みなさい」と言われ、彼の物語を読み始めたところ、“ある人を埋葬した人々がその後、亡くなった人について全く知らなかったことに気付いた”という話に出会いました。このアイデアがとても気に入り、すぐさま “愛した人の瞳の色が分からない”という脚本を一晩で書き上げました。この映画を観た多くの人が、「自分も愛する人の瞳を知らないかもしれない。これからは記憶するようにしよう」と思ってくれるような、そんな意味のある映画を作りたいと思っています。

ご自身が影響を受けた作品や監督について

私は、自分の映画のために特別なインスピレーションを得ることは、意図的にしていません。 そうすると、私の映画ではなくなってしまうからです。 一方で私は色々な監督が好きで、一人に絞るのは難しいです。 弱さと強さ、愛、義務、祖国についてなど、最もシンプルで重要なことを淡々と考えさせる監督が好きなので、タルコフスキー、ダネリヤ、スピルバーグ、ストーン、スコセッシ、リンチの作品をよく観ます。