『Patriot』 移民問題、どう向き合う? カンヌ特集プログラム
2016年05月21日
ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2016 公式サイトオープン!
今年のショートショート フィルムフェスティバル & アジア開催まであと1か月を切り、 上映作品の中からとっておきのプログラムやイベントをご紹介!今回のプログラムは「カンヌ特集プログラム」
最近では、街中で外国の方を見かける機会が本当に多くなりましたよね!今日も、電車で隣に座っている人は外国の方でした。地元のレストランでも外国語でお喋りする声が聞こえてきます。
観光政策や労働政策の影響で、かつてない数の外国の方々が日本で過ごしています。2015年の年末のニュースでは、外国人観光客が年間2000万人を突破したと報道されましたね。また外国人移住者の数も増えています。この現象は日本だけでなく、世界各国で起こっていることなのです。
外国人のみなさんと交流するのは楽しいですよね!
けれども、ドラブルが起こってしまった時、あなたはどう向き合っていきますか?
移民問題・難民問題はとても複雑です。最近ではヨーロッパでの移民・難民受け入れ政策の規制が増えているというニュースがよく流れています。また、移民・難民の人々に対する非正当的な雇用形態が浮上したりしていますね。
この移民問題・難民問題をシリアスに描いているのが、イギリスが舞台のショートフィルム『Patriot』です。
深い映画で、すごく考えさせられました。
キャンピングカーなどで生活する、通称「キャラバン」の人々を知っていますか?イギリスに出稼ぎにやってきた移民の人々のことです。イギリスでは、キャラバンの人々に対しての差別が社会問題の一つにあります。キャラバンであることが雇用主に知られてしまうと即解雇されてしまう事例や、生活費を稼ぐのがやっとという事例も多数。イギリス人ではないという理由だけで、貧しい生活環境から抜け出せないのが現実です。 『Patriot』はキャラバンの少年と愛国心の強い少女の出会いを題材にしています。それぞれの出演者の行動が衝撃的なのですが、その一つ一つがとても深いメッセージを持っています。一見しただけでは分からないシーンもありますが、よく考えてみると、私たちが気付いていないポイントが見えてくるのです。
主人公は、愛国心の強い家庭に育つ少女。同じようなオピニオンを持つ仲間同士でパーティーをしています。けれども、お父さんは仲間との談義に夢中で相手にしてくれません。少女は家を飛び出してしまいます。
その道の途中でキャラバンの少年に出会います。少女は少年を見かけてすぐ、
『この国からとっとと失せな!!』
と吹っかけます。酷いと思わざるを得ないシーンですが…私達も、全く同じとは言わないまでも知らぬ間このような事態を引き起こしていないでしょうか。
「あの人は〇〇人だから…」とか「〇〇人らしい人だよね」という言葉を使ってしまう場面がよくありますね。この言葉は、偏見と蔑視が含まれていないでしょうか。軽い気持ちで口にしてしまっても、本人にとっては嫌な気持ちにさせてしまっていることもあるはずです。本当に相手と仲良くなりたいなら、国籍やその国のイメージは忘れてその人自身と向き合わなければなりませんよね。そんな基本的な事ができずに、外国人と国民同士の摩擦は無くなることはありません。
『Patriot』の最後のシーンがとても印象に残っています。そのシーンの少女の顔の表情こそ、この問題の重さを表しているように思います。この映画は、現代社会の鏡のような映画です。是非、何度でも見て欲しいと思います。
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- ライター情報 すらすら
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