アニメーションにできること 『ムーム』上映&堤大介監督トークイベント
2016年05月01日
ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2016 公式サイトオープン!
今年のショートショート フィルムフェスティバル & アジア開催まであと2か月を切り、webサイトも本格オープンしました! 上映作品の中からとっておきのプログラムやイベントをご紹介!今回のイベントは「『ムーム』上映&堤大介監督トークイベント」
2014年にアニメーションスタジオ「トンコハウス」を設立した堤大介さんをお招きし、アニメーションのこれからについてお話を伺うイベントです。また、トンコハウスの最新作「ムーム」も上映します。
堤さんは高校卒業後に単身渡米し、School of Visual Artsにて油絵を学んだ後、アニメーション業界に足を踏み入れました。大手アニメーションスタジオのピクサーで、「トイ・ストーリー3」や「モンスターズ・ユニバーシティ」の美術監督として活躍され、特に光や色彩の演出の巧みさで注目を集めました。その後、ピクサーの同僚であり友人のロバート・コンドウさんと制作した初の監督作品「ダム・キーパー」が、第87回米国アカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされます。惜しくも受賞は逃しましたが、「ダム・キーパー」は世界各国で20以上の賞を獲得しました。
「ダム・キーパー」には台詞がありません。代わりに登場人物たちの気持ちを語るのは、細やかに演出された光や色彩です。ランプの温かい明かり、窓から差し込む陽光、戸外の明るい光などが巧みに描き分けられ、キャラクターの内面を映し出します。ピクサー所属時代からの堤さんの十八番が存分に発揮された作品です。
「ダム・キーパー」制作後、堤さんとロバート・コンドウさんはピクサーを退社し、トンコハウスを立ち上げました。その理由は、「自分たちのストーリーを伝えるため」、そして、「次の世代に何かを残していきたい」と考えたからだといいます。例えば、トンコハウスは「ダム・キーパー」を教材として活用する教育プログラムに取り組んでいます。また堤さんは、「スケッチトラベル」というチャリティ・プロジェクトの発案者でもあります。このプロジェクトは、数十人のアーティストが1冊のスケッチブックをリレーしながら作品を描き込み、そのスケッチブックをオークションに出品して、収益金を途上国の識字教育に尽力する団体に寄付するというものです。こうした活動を通じて、アニメーションや芸術は単なる娯楽以上の存在になりうるのです。
今回上映される「ムーム」は、トンコハウスにとって初の日本の制作会社との共同制作作品です。原作は、ミリオンセラーとなった小説「世界から猫が消えたなら」で有名な川村元気さんの絵本、「ムーム」。人間がいなくなってしまった世界で、主人公のムームは湖に捨てられたガラクタから持ち主との思い出を見つけ出し、空に返します。そんなムームがある日、泣いてばかりの思い出ルミンと出会う物語です。「ダム・キーパー」同様、鮮やかかつ繊細な光と色彩で描かれる画面は、温かさと優しさに満ちています。
トンコハウスは、「エンターテイメントと作品の意味のバランスにこだわった物語を、国を超え、世代を超えた、多くの人々と分かち合いたい」というミッションを掲げています。アニメーションにはそれができるということを、「ダム・キーパー」は証明しました。無限の可能性を秘めたアニメーションの未来を、あなたも一緒に覗いてみませんか。
『ムーム』上映&堤大介監督トークイベントのご予約はこちらから
参考資料:トンコハウス展「ダム・キーパーの旅」展示
情熱大陸(2015年3月15日放送)
CINRA NET特集「ピクサーを飛び出したアートディレクター堤大介の貪欲すぎる挑戦」
(http://www.cinra.net/interview/201604-tonkohouse)
スケッチトラベル 公式サイト
(http://www.sketchtravel.com/?lang=ja)
- ライター情報 木江恭
小説、エッセイ、紀行文等々、何でも屋のもの書きを目指しています。趣味は創作、読書、映画鑑賞。SSFF & ASIA主催のプロジェクト「ブックショート(http://bookshorts.jp/)」にて作品公開中です。Twitter(https://twitter.com/kyokinoe)では創作や映画の感想なんかを呟いています。
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