5プログラムから総勢24名のゲストが登場! 6月11日ラフォーレミュージアム原宿会場 上映プログラムレポート
2016年06月12日
ラフォーレミュージアム原宿会場3日目!本日も国内外から多数のゲストにご来場いただいて、アフタートークにご参加いただきました。
「アジアインターナショナル&ジャパンプログラム9」には、3作品から監督・プロデューサー・出演者が登場
インド人の少年・メルビンが、転校生の少女への恋心から、苦手な水泳を克服していく『ウォーターベイビー』。泳ぎが苦手だったというPia Shah監督の思い出が投影された作品です。音楽の使い方など、いわゆるボリウッド映画とは異なる世界観は、「インドでも独自の文化を持つゴア地方が舞台だから」とのことでした。
『朝鮮 – コリア -』は、パスポートや国籍を持たない「在日コリアン」たちに迫ったドキュメンタリー。呂翼東監督は、当初アメリカ人向けの作品にしようと考えていたそうで、アジアの複雑な問題をわかりやすく表現するのに苦心したそうです。会場のフィルムメーカーから、カメラや照明に関する専門的な質問が飛び交う熱気溢れるQ&Aとなりました。
まるで夢の中のような不思議な浮遊感が心地よい映像叙情詩『Blue』。真壁幸紀監督は、主演の松本ゆりふぁさんのオリジナル曲から、ストーリーのイメージを膨らませ、“歌を聴くように楽しめる”世界を目指したと語ってくれました。
「インターナショナルプログラム6」には、2作品からオーストラリアとハンガリーの監督が登場
人魚を捕まえることに熱中する初老の男・ハーブ。そのロマンに潜む恐ろしい狂気を描いた『人魚を捕まえた男』。オーストラリアのKaitlin Tinker監督は、サスペンス映画で真実が明らかになる瞬間の“腹にズシンと来る感じ”が大好きで、その感覚を人魚というモチーフで描きたかったと言います。ちょっと甲殻類チックな人魚のビジュアルに対しては、観客の皆さんも興味津々で、その意図や制作方法(CGを使わず、撮影前に7時間かけて特殊メイクしたそう)に関する質問が相次ぎました。
歌が下手だからという理由で、意地悪な先生に合唱コンクールで歌うことを禁じられた少女ジョフィーが、友人リザの助けを借りて“美しいクーデター”を起こす『合唱』。ハンガリーのKristof Deak監督は、友人の子供時代のエピソードから、「個人がグループのために犠牲になるか、グループが個人を尊重するか」という二者択一のテーマを着想したそう。主演の子役二人は80人のオーディションから、合唱団の子供たちは実際に活動する5〜6個のグループを見学して発掘したと言います。子どもたち、いい顔してましたヨ。
「アジアインターナショナル&ジャパンプログラム1」には、3作品から8名の監督・出演者が登場
若いカップルの浜辺での喧嘩が、思わぬ事態へと転がっていく中国・香港の作品『サンダル』。Haolu Wang監督は、夕焼けを撮影できる時間が30分しかなかったり、女優に真冬の海に入ってもらったりと、浜辺での撮影の苦労話を聞かせてくれました。
末期ガンを宣告された妻と“ツチノコ”探しの旅を続ける『EVERYTIME WE SAY GOODBYE』。「夫婦の自然な会話や、絶妙な間など、どうやって演出したのか」という会場からの質問に、倉田健次監督は「あえて細かな指示を入れずに、二人の役者がつくった夫婦の空気感を大切に引き出していった」と答えてくれました。
第1回Book Shorts アワード受賞原作を映像化した『HANA』は、芥川龍之介の小説『鼻』をモチーフに、女子高生が抱える“胸の大きさへの悩み”をユーモラスに描いた作品。岡元雄作監督は、「コンプレックスを解消するには、まず自分が気にしないこと」というテーマを原作から汲み取ったと言います。俳優の金子大地さんは、「もっと長く続いて欲しかった」と楽しい現場の雰囲気を伝えてくれました。
「インターナショナルプログラム2」には、ドイツ・オーストリア、ポーランド、キプロス、スウェーデンから監督・出演者が登場
母親の誕生日プレゼントに、昔の写真を再現しようと思い立った3兄弟のやりとりが可笑しいドイツ・オーストリアの作品『バスタブ』。Tim Ellrich監督は、自然なセリフ回しになるように、自分の家族の会話をイメージしながらシナリオを書き進めていったとか。現場では、役者のアドリブも取り入れてリアリティを深めていったそうですよ。
『TENDERNESS』は、未婚カップルの堕胎をテーマとしたポーランドの作品。Emilia Zielonka監督 は、原案の短編小説を読んで一目で気に入り、同じライターにシナリオを依頼したと言います。ちなみに主演女優は、当時演技未経験。それでも、彼女の中に繊細で情熱的なものを感じて抜擢したとのことです(大成功!)。
“退屈、ゆえの自殺”という現代的なテーマを扱った『運命のいたずら』はキプロスの作品。「自殺の映画なのに、なぜカラフルで明るい画面構成なの?」という会場からの質問に、二人の監督は「人は鬱状態になると、カラフルな現実の世界を見ることができなくなる」というアイロニーを込めたと、その狙いを話してくれました。
お兄ちゃんが大好きな少女アグネスの、揺れ動く表情がカワイイ『アグネス』。スウェーデンのAnja Lind監督は、兄と密接な幼年時代を過ごした自身の経験をストーリーのベースにしたと言います。主演の6歳の少女は、この出演がきっかけで、その後たくさんのオファーが舞い込んだとか。なるほど、納得の演技力です。
「アジアインターナショナル&ジャパンプログラム3」には、監督と出演者4名が登場
理髪店の店主とその妻、そして友人の客。髭剃りの真っ最中に、スリリングな心理戦が展開していく『カミソリ』。監督・出演の新谷寛行さんは、理髪店の「鏡を前にして、全員が同じ方向を向いている」というシチュエーションが気に入ったのが、アイデアの発端だったと言います。撮影部隊は、監督・キャスト3名を含めて、わずか6名(!)の少数精鋭。今回が初監督ということですが、とてもそんな風には思えない、緊張感のある作品でした。
『なんの意味もない。』は、高校生の奈々が、妻を失って落ち込む父を励ますため、小島よしおのギャグで奮闘する感動コメディ。原廣利監督は、元々、別のシナリオを書いていたそうですが、プロデューサーから駄目出しされて書き直す中で、タイトルの「なんの意味もない」というフレーズ、そしてそれをすでにギャグにしていた小島よしおさんの存在が頭に浮かび、オファーをしたら快諾。シナリオは書いてみるもんですね、オファーもしてみるもんですね。笑って笑って、気づけば感動…そんな素敵な作品でした。
ラフォーレミュージアム原宿会場での上映も、いよいよ明日が最終日。皆さんのお越しを心よりお待ちしています!
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