今年で設立50年を迎える国境なき医師団(MSF)と「今を伝える映像の力」をテーマにオンライントークイベントを開催いたしました。
6/1にLIVEで配信されたイベントの視聴者は2,800名を超えました。
MSF日本事務局長の村田慎二郎さんが出演、映画祭代表の別所哲也がホストを務めました。
1971 年に医師とジャーナリストによってフランスで設立された民間の医療・人道援助団体であるMSFについての紹介に続き、紛争・貧困・自然災害などにより医療にアクセスできない人びとに、独立・中立・公平な立場で緊急医療援助を行うとともに、現地で目の当たりにした耐え難い人道危機を社会に伝えていく「証言活動」を、近年は特に、映像を用いて発信していることが伝えられました。別所は、「世界各国から数千本の作品が集まるSSFF & ASIAは世界の今を伝えられる国際映画祭であり、映像の力を信じて伝えていきたい」という思いも述べました。
また、2020年に公開されたドキュメンタリー映画『娘は戦場で生まれた』を例に、映像が人々に与えるインパクトや情報量についても意見を述べ合いました。同映画に出演している医師ハムザ・アルカティーブ氏がMSF共催のカンファレンスで述べたメッセージも紹介され、政府の支配地域の外にいたという理由だけで医療者はみなテロリスト扱いされてしまう現実や、「皆が前に進むために、シリアの人々が望むのは責任の所在を明らかにすること」であり、「皆さんにお願いしたいと思うのは中立性について考えること。加害行為や起こった出来事の真実を偽ったり、歪曲したりしないようにこの状況下での中立性の捉え方も考える必要がある。」と伝えました。
別所は「紛争により、地域住民が医療にアクセスできない悲惨な状況が、本映画を通じて世界各国に伝えられたことの重要性」をコメント。村田氏も、「改めて紛争地の現実を映像で知ってほしい、一緒に考えてほしい」という熱い思いを訴えました。
最後に、「今、私たちにできること」として村田氏は、「まずは知ることが大切だと思います。事実を知って、考えてみる。世界で起きている人道危機の現実を気にかけ、まわりと話してみる。一人ひとりの心の動き、対話が、社会の流れを変えていくと思います」と呼びかけました。
オンライントークイベントの模様は、映画祭YouTubeチャンネルよりアーカイブ配信しております。
URL:https://www.youtube.com/watch?v=Hqo97gc2Bp4
イベントの詳細はこちら:https://shortshorts.org/2021/ja/event/msf_event/