米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭、ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(略称:SSFF & ASIA)は、2021年よりスタートのスマートフォン映画作品部門 supported by Sonyのキックオフを記念し、6月12日(土)にGinza Sony Parkからオンライントークイベント「Creators’ Junction 2021」を開催いたしました。
会場には、スマートフォン映画作品部門にノミネートした日本人監督、同映画祭NEO JAPANプログラムノミネート監督ら10名を特別招待。銀座の街の臨場感を背景に、映画祭代表の別所哲也が冒頭の挨拶を行い、ソニーグループ株式会社中臺孝樹氏とともに、アカデミー賞につながるSSFF & ASIAオフィシャルコンペティションおよび、新たにスタートしたスマートフォン映画作品部門のサポートを通じて、ソニーが掲げる「クリエイティビティとテクノロジーの力で世界を感動に満たす」活動として、世界に向けたあたらしい取り組みを具現化していきたい意気込みを説明しました。
いきものがかりの楽曲「きらきらにひかる」をテーマに一般公募された小説を原作に、内田英治監督がソニーのスマートフォンXperia™で全編撮影して作り上げたショートフィルム『星屑の子』の上映に続き、いきものがかり水野良樹さん、内田英治監督、別所哲也がステージに登場。銀座の街中からのLIVE配信という設定に「場所にのまれている」「面白い場所」と興奮気味にトークがスタート。
水野さんより、monogatary.comを通じて、いきものがかりの楽曲「きらきらにひかる」をテーマにした短編小説が約1400点も集まったこと、新型コロナウイルスの感染拡大により世界が混乱し始めたころに、自分の気持ちを表現できる曲を、と作った楽曲が、応募された数々の小説によって様々な世界を作り上げたことに驚きと感動を覚えたこと、そして内田英治監督が映像化してくれることになった背景が説明されました。内田監督も、「曲があって小説を募集、その小説を映像化、という普通でないやり方に興奮した。常日頃、映画のカラーにあったテーマ曲を決めてそれを聞きながらロケバスに乗って撮影に挑んでいる。だから自分にぴったりの企画だと思った」と語りました。
作品が出来上がっていくプロセスについては、「小説「星屑の子」がファンタジー作品だったために、その世界観を映像化することに夢が膨らみ、欲が出てしまう作品だった。」と水野さん。内田監督は、「ファンタジーは、(架空の世界を演出するため)お金もかかり、日本では一番作るのが難しい。これは、曲を作った人からの挑戦状だと思った。」と話し、この世にない世界観を出すために石切り場でのロケを行ったこと、登場人物の主観映像を撮影するのにXperiaを頭につけて撮影したり、スローモーションの機能を使い、スマートフォンを崖の上から落とすなど、撮影時の工夫も紹介し、モバイルシューティングが新たな可能性を導き出し、同時に、自宅での録音やサンプリングなど、音楽の制作現場も含め、気軽にクリエイティブに挑戦でき、すそ野が広がっていることや、映画の見方や音楽の楽しみ方、作品発表の場の変化といった潮流も語られました。
楽曲を生み出すのに1週間、準備に2か月、撮影に3日、編集に1-2日をかけたという作品について、「ドラマの主題歌など、
これまでも楽曲と映像のコラボレーションはあったけれど、どうしても遠慮しあってしまうことがある」、と説明しながら、水野さんは、「今回は小説のフィールド、映像のフィールド、はっきりわかれていたため、良い緊張感でつなげていけた」と、今回のプロジェクトの各クリエイティブの独立性についても感想を述べました。
原作があるものの映像化について、内田監督は、表で言いたいことと裏テーマの違いを表現することを注意するポイントとし、「大人が考えている世界観と、子どもが考えている世界観の違いを考えながら、小説を書いた人の、子どもたちへの想いや未來像を重視した」と説明しました。
また、会場で観覧のクリエイターからは「縦型映像についてどう思うか」と質問が投げかけられ、スマートフォン映画作品部門の審査員もつとめる内田監督は「この部門には縦型映像作品も多かった。ドキュメンタリーは特に、縦で見るとすごいリアリティ。自分でも挑戦してみたくなった」と回答。水野さんは、「縦型映像の多くは、まだ携帯で撮影している、というフォーマットに縛られている感じがする。このフォーマットを白紙に戻し、考えてみたら縦型がもっと広がるのではないか」と意見を述べました。
最後には各者よりクリエイターに向けたコメントを発表。「映画は特になかなか入り口がない。映画祭など、発表をしていく場が海外に比べて日本は極端に少ない。自分もどうにもこうにもならない映像作家時代に、海外や日本の映画祭に救われた。こうした場がソニーと組むことで10倍に増えていくことで、若手が育っていくと良い。」と内田監督。
「映像と音楽はともに進化してきた。映像と一緒に音楽を聴くことが一般化し、音楽サイドは映像を作ってくれる人を探している。いろいろな分野と出会え、普段なかなか出会えないアイディアに触れられるのが嬉しい。ショートフィルムの可能性を含めて色々なクリエイティブの発信に参加、応援していきたい」と水野さんも語りました。
トークイベントが終了後には、スマートフォン映画作品部門 supported by Sonyノミネート作品の中からセレクトしたショートフィルムが上映されました。
【上映作品】
『絵はがき』
監督:石侍露堂 / 10:22 /日本/ドラマ / 2021 (スマートフォン映画作品部門ノミネート作品)
『viewers:1』
監督:針谷大吾&小林洋介 / 4:33 /日本/SF / 2021 (スマートフォン映画作品部門ノミネート作品)
『Astral』
監督:花輪 柚太 / 6:43 / 日本 / SF / 2021 (NEOジャパンプログラム上映作品)
なお、トークイベントの模様はSSFF & ASIAのYouTubeにてアーカイブ配信され、また、スマートフォン映画作品部門supported by Sonyのノミネート作品は映画祭オンライン会場より6月21日(月)まで配信、6月21日(月)に行われるアワードセレモニーで優秀賞の発表が行われ、受賞作品は6月30日(水)まで延長配信が行われます。
■アーカイブ映像:https://youtu.be/oOe07p0nkX8
■オンライン会場:https://www.shortshortsonline.org/sumatohuon-ying-hua-zuo-pin-bu-men-supported-by-sony-smartphone-film-competition-supported-by-sony
※初回にメールアドレス登録後、無料でご覧いただけます。
■『星屑の子』本編:https://youtu.be/JWfM_ArrTq8
■『星屑の子』メイキング: https://xperia.sony.jp/special/passions/voices/uchida_1.html
<開催概要>
■日時:2021 年6月 12 日(土) 18:30 19:20
■会場:Ginza Sony Park
■実施内容:内田英治監督、いきものがかりの水野良樹さん、映画祭代表別所哲也による、新しい映像文化やクリエイティブの潮流を語るライブ配信トークイベントおよび、クリエイター向け上映イベント