米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭、ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(略称:SSFF & ASIA)は、第10回観光映像大賞ファイナリストに選出された5つの自治体とのオンライントークイベント「観光映像にみる、コロナ禍の観光 ~地域ブランディングの目線で今発信すべき観光映像を検証~」を開催しました。
パネリストとして参加したのは、愛知県常滑市から一般社団法人とこなめ観光協会、佐賀県上峰町から上峰町役場 まち・ひと・しごと創生室、長崎県南島原市から南島原市観光振興課、三重県から公益社団法人三重県観光連盟、福井県から若狭湾観光連盟及び各制作に携わった広告代理店や映像制作会社の方々。
冒頭では、各地域の魅力を紹介するとともに、どのように魅力を観光映像として表現したかを紹介。常滑市はアニメーション映画との連動で新規層の開拓を、上峰町はしっかりとしたストーリーで共感を持たせ引きこむ、南島原市は奇を衒った企画で、三重県はサミットや各エリアの特色を自慢する「見栄」にかけた企画で、若狭湾は多くの言葉を盛り込めるラップ音楽を使用するなど、各作品とも、YouTubeから数多く発信される映像の中でいかに埋もれず、印象に残すことができるかを試行錯誤し制作されたことを説明しました。
MCをつとめたSSFF& ASIA 代表の別所からは、コロナ禍での観光事業への影響について質問。
国際空港を持つ常滑市、インバウンド施策にも力を入れていた南島原市や三重県では外国人観光客の姿が見られなくなったり、修学旅行生の受け入れができない、町の行事がなくなり活気がなくなっているでいるなど、苦しい状況報告の一方、各地域とも、県内・近隣からの観光客増加により改めて地域の魅力を見直す傾向があることや、特産品のお取り寄せやふるさと納税などオンラインで楽しむ需要が高まっていることなど、各自治体ともコロナ禍の新たな観光施策を見出していることが語られました。
後半はコロナ禍での映像制作にもおよび、各代理店、映像制作会社が、当初予定していたシーンの変更や、撮影時期の延期、監督自らがカメラを回し、出演者も自身でヘアメイクを行うなど、最少人数での撮影体制、会話のないシーンに設定、リモート撮影に挑戦するなど、工夫を凝らし制作を行ったことを話しました。
最後には観光映像を制作・発表したことで見えてきた課題や、「映像が地域を知ってもらうことにいかに寄与しているか」、観光映像の有効性について意見を述べ合い、別所は「明けない夜はない。観光映像を通じて新しい観光の在り方を一緒に作っていきたい。」と各自治体、視聴者に向けて呼びかけました。
5つのファイナリスト作品は、SSFF & ASIA 2021 オンライン グランド シアターにて配信中。ファイナリストの中から選ばれる観光映像大賞の発表は、6月16日(水)に実施する「Branded Shorts 2021」にて発表されます。
なお、本日のオンライントークの模様はSSFF & ASIAのYouTubeチャンネルにてアーカイブ配信しております。
https://youtu.be/7vP89JsCykM ぜひご視聴、紹介いただけますと幸いです。
【観光映像にみる、コロナ禍の観光 ~地域ブランディングの目線で今発信すべき観光映像を検証~】
日 時 :2021年5月20日(木)20:00~21:30
出演者 :
1. 泣きたいのに泣けない私(愛知県常滑市)
一般社団法人とこなめ観光協会 事務局長 田村史彦
知多メディアスネットワーク株式会社 取締役 山本隆明
2.ふるさとのにおい(佐賀県上峰町)
上峰町役場 まち・ひと・しごと創生室 坂田陽香
株式会社博報堂 菅原直美
3.突撃!南島原情報局【神回】(長崎県南島原市)
南島原市観光振興課 梶原和隆
監督 渋江修平
4.見栄サミット#三重の観光PR動画(三重県)
公益社団法人三重県観光連盟 事務局次長 木平保子
株式会社 中日アド企画 野田弘明
5.若狭の魅力を伝えたいけど予算がねえ(若狭湾エリア)
若狭湾観光連盟 事務局長 岩本克己
株式会社DASH 永崎真甲
MC:別所哲也
【作品名】泣きたいのに泣けない私
【地域】愛知県常滑市
【監督名】柴山健次/7分/2020
仕事に悩み落ち込んでいた一人の若い女性がある日、友達が勧めたアニメ映画「泣きたい私は猫をかぶる」を観て、主人公のムゲのように強い自分になりたいと足を運んだ場所がアニメの舞台となった『愛知県常滑市』。「泣き猫」の世界観を体感し、どこか懐かしさを感じる街に癒されるなど、自分探しの旅となる。常滑は、ムゲのように強い自分を見出せるきっかけをくれた街だった。
【ファイナリスト発表を受けてのコメント】
ファイナリストに選出いただき、大変光栄に思います。 今作品は常滑出身の監督だからこそ描けた「常滑の魅力」が詰まっており、まだ常滑を知らない多くの方々に興味を持って頂きたいと制作しました。見どころは、常滑に暮らす人々や風景に明日への活力を見出していく主人公の姿です。ご覧頂き、ぜひ常滑にお越し頂けたらとても嬉しいです。
一般社団法人とこなめ観光協会
【作品名】ふるさとのにおい
【地域】佐賀県上峰町
【監督名】菊地健雄/8分/2020
「故郷に戻った。帰省ではない、帰郷だ」東京から故郷の上峰町に戻った
いつの間にか幼馴染は一人前になっていて──
「きっと私にも何かできるはず」
心ならずも帰郷した主人公が、実家の酒蔵での父との葛藤や幼馴染との交流を通して、故郷上峰町の魅力を再発見していくショートムービー。
【ファイナリスト発表を受けてのコメント】
『ふるさとのにおい』は、”上峰町にUターンした主人公が悩みながらも周囲の人たちとの関わり合いの中で故郷を見つめ直すこと”をテーマに制作しました。自然の美しさ、人の温かさ、食の豊かさ、それが当たり前のように日常にあるというのはぜいたくなこと。そういった上峰町の魅力が、作品を通して多くの人に届くことを願っております。
監督 菊地健雄
【作品名】突撃!南島原情報局【神回】
【地域】長崎県南島原市
【監督名】渋江修平/27分/2021
ムービーの舞台は、南島原市の旬をお伝えする週末情報番組「突撃!南島原情報局」。想定外の出来事が次々に起こり、のちに神回となる放送回がついにyoutubeにアップされた!!架空の情報番組に、架空のCM。そして満島ひかりさんが演じる癖が強すぎる南島原市民たち。南島原の多彩なコンテンツを、エンターテイメントな演出でインパクトをもたせて伝える約27分間です。
【ファイナリスト発表を受けてのコメント】
ざっくりと良い雰囲気だけで市をPRするのではなく、しっかりと「天草四郎」「世界遺産の原城跡」「島原手延そうめん」の3点を覚えていただき、そして実際に南島原市に足を運んでもらうことを意識して脚本を練りました。 これから皆さんと一緒に南島原の魅力を共有できることを楽しみにしています!
監督 渋江修平
【作品名】見栄サミット#三重の観光PR動画
【地域】三重県
【監督名】木戸純平/15分/2020
三重県を構成する5つのエリアを1つずつの国と想定し、5エリアの首脳たちが一同に会したサミットにて、自国の自慢話で「見栄」を張り合うショートムービー。
コメディータッチの動画を通じて、三重県各地の観光スポット、自然、食を紹介しています。
【ファイナリスト発表を受けてのコメント】
数ある作品の中からファイナリストに選んでいただき、大変うれしく光栄に思います。この映像で描かれているように、三重には見栄を張りたくなるような、素敵なモノ・コトが沢山あります。これをきっかけとして、見栄に…いや、三重に興味を持っていただけるとなお嬉しく思います。
公益社団法人三重県観光連盟
【作品名】若狭の魅力を伝えたいけど予算がねえ
【地域】若狭湾エリア
【監督名】平林勇/4分/2021
一昔前の若狭湾観光PR動画。その動画をリニューアルする依頼がとある制作会社に舞い込んできた。
しがないディレクター、お気楽なAD、ザ・プロデューサー、翻弄されるエディター、何も知らないインターン生。誰も福井県若狭地方に行った事がない。予算もない。
この状況、このメンツで果たして観光PR動画を作れるのか?
【ファイナリスト発表を受けてのコメント】
いわゆる「悪目立ち」する企画を、何の修正も調整も無く作らせて頂きました。 それも若狭湾観光連盟の皆様の懐の深さだと思っております。 そして、観光映像大賞を目指していたので、ファイナリストに選んで頂きまして、 夢が正夢になった気分です(笑)。 一番は若狭湾地方が本当に素敵な場所ということなんだと思います。
監督 平林勇