【レポート】9月17日(土)Short Shorts Film Festival & Asia OSAKA 2016 Program ④

【レポート】9月17日(土)Short Shorts Film Festival & Asia OSAKA 2016 Program ④

9/17(土)Program④ 18:30~21:00のマエストロ&セレブリティショートプログラムでは、第一線で活躍する監督たちのショートフィルムや、著名な俳優・女優の出演作品を特集上映!また上映後には映画宣伝プロデューサー松井 寛子さんによるアフタートークと、山村 誠一さんによるライブ「映像が見える音楽会」を実施しました。その詳細をレポートいたします。


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-マエストロ&セレブリティショートプログラムをご覧になっていかがでしたか?
どの作品もすべて面白かったです。『しゃぶしゃぶスピリット』は笑いましたし、『海酒』は渋くてとっても良かった。

 

-『海酒』はショートショートの名手田丸雅智さんの原作を元に、映画とは関係ない様々な職業の人たちが集まって撮ったそうですね。
故小川紳介監督から聞いた話ですけど、昔は長男が家業を継がなければいけなかったので、映画の仕事に就く人には次男三男が多かったそうです。だから農家や漁師の息子とか、いろんなジャンルの人が集まっていたんだとか。そういう中から新しいものが生まれるのかもしれませんね。

 

-松井さんご自身は、どういうきっかけで映画宣伝に関わり始めたんですか?
昔ドキュメンタリーはお客さんが入らないから映画館では全くかからなくて、ホールを借りて「上映会」をやるくらいしかなかったんです。だから数人の映画ファンたちと一緒に、時々そういう作品の上映会をやっていたのが、映画業界に関わり始めたきっかけです。

 

-ドキュメンタリーが映画館でかかるようになったのはいつ頃からですか?
劇場で初めてドキュメンタリーがかかったのは、1987年公開の『ゆきゆきて神軍』です。劇場公開前はイマジカの試写室で何度も上映されていたんですが、当時私がイマジカに行った時にも、淀川長治さんやおすぎさん等の有名人がいっぱい見に来ていました。一番最初に『ゆきゆきて神軍』を劇場でかけると言ったのは、名古屋にシネマスコーレという映画館をオープンした若松孝二監督です。東京ではユーロスペース、大阪梅田ではかつてあったシネマヴェリテで公開して記録的なヒットになり、それからドキュメンタリー映画が劇場でもかかるようになりました。

 

-山形国際ドキュメンタリー映画際が始まったのもその頃でしたね。
映画祭が始まるもっと前に、小川紳介監督が各国から監督を集めて、山形の村の古い公民館で芋煮を食べながらみんなで映画を見るという文化がありました。当時日本にドキュメンタリー映画際はなかったので、じゃあやりましょうかということで1989年にスタートしたのがきっかけです。今や山形ドキュメンタリー映画際は河瀬直美監督を輩出するなど、世界の映画祭の中でも完全にトップクラスになりましたね。世界中からドキュメンタリー監督といえばこの人という方々が集まってきます。

 

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-松井さんはドキュメンタリーのどんなところに惹かれますか?
ドキュメンタリーというと、皆さんテレビのドキュメンタリー番組を思い浮かべるので、深刻な社会問題をえぐるような作品ばかりだと思われているかもしれません。ただ映画のドキュメンタリーには社会問題だけではなく、例えば美術館や音楽とか、いろんな題材の作品がありますし、主張もいろいろです。また真実を伝えるものばかりではなく、どの作品にも監督のフィルターはかかっていて、最近『FAKE』で話題の森達也監督なんかは敢えて「ドキュメンタリーはフィクションだ」と言い切っています。

 

-最近面白かったドキュメンタリーはありますか?
『クワイ河に虹をかけた男』という作品が面白かったです。これはKSB瀬戸内海放送というテレビ局が作ったドキュメンタリー映画なのですが、アジア太平洋戦争で旧日本軍が建設し、「死の鉄道」と呼ばれた泰緬鉄道の戦後処理を、たった一人のおじさんがやっている姿を追った作品です。最初はナレーションが多いなと思って見ていたのですが、途中からグッと引き込まれました。

 

-ドキュメンタリーに限らず、今ならこれがオススメという一本はありますか?
カンヌ国際映画祭でも賞を取った、深田晃司監督の『淵に立つ』という映画がオススメです。原作もなく、深田監督が自分で脚本を書いていて、なら国際映画祭でもオープニングで上映されます。10/8から全国公開予定です。

 

-松井さんは映画宣伝の時にも全くビジネストーク感がなく、いつも「最近こんな面白い作品があってな」という感じで喋りますよね。
根っからお祭りが好きなんです。自分が好きな映画を紹介して、人に見てもらうというのがすごく楽しい。元々見よう見まねで学びながら映画宣伝を始めたので、型にはまったものがないんです。また最初に映画を見る時には、資料や受賞歴を一切見ず、先入観を持たないようにしています。

 

-松井さんは「風まかせ人まかせ」という居酒屋を共同経営されていて、そこでもこんな映画談義ができるんですよね?
はい、大阪の十三駅の西口を降りてすぐそばにある居酒屋です。映画の好きな人も来ますし、ジャンル問わず色々な方が来るので、ぜひ遊びに来てください。

 


 

またアフタートークが終わった後には、スティール・パン演奏者の山村 誠一さんと、ギタリストの山下ジュンさんによる「映像が見える音楽会」が行われました。スティール・パンはドラム缶を切って、底の部分を金づちで叩いて音階を生み出している楽器です。

 

 

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お二人は松井さんの経営する居酒屋「風まかせ人まかせ」でも演奏をされており、素敵な演奏とユーモア溢れるトークで会場を大いに盛り上げました。また演目は映画『ベティ・ブルー』や『太陽がいっぱい』の中の挿入歌、懐かしい『サンダーバード』のテーマソングや、エンニオ・モリコーネ作曲による『ニュー・シネマ・パラダイス』の音楽など、映画ファンにとってはたまらない選曲ばかりでした。