大人気!是枝裕和 監督 「#5  映画を劇場で観るということ」動画書き起こし配信!

大人気!是枝裕和 監督 「#5  映画を劇場で観るということ」動画書き起こし配信!

昨年2014年11月2日開催した映画監督 是枝裕和氏を招いたクリエイターズパーティー。
2014年11月末~12月頭にかけ配信した動画の書き起こし第5弾「映画を劇場で観るということ」を配信していきます。

横浜のショートフィルム専門映画館、ブリリア ショートショート シアターにて映像関係者・クリエイターの方々を対象とした交流会「クリエイターズパーティー」が開催された。13回目を迎えた今回のゲストは、『そして父になる』で第66回カンヌ国際映画祭審査員賞受賞も記憶に新しく、現在、15年初夏公開予定の『海街diary』を制作中の是枝裕和監督。「カタチを決めない“カタチ”」をトークテーマに是枝監督の映像論をたっぷりと語って頂きました。

スピーカー
・ゲスト 監督 是枝裕和
・司会 ブリリアショートショートシアター支配人 奈良太一

動画も是非ご覧ください!
是枝裕和監督 #5 是枝監督とショートフィルム 映画を劇場で観るということ 

■ショートをやってみたりすると、2時間と何が違うのか少しクリアになるんじゃないかな

奈良:是枝さんはショートフィルムを作られているわけではないと思うんですが、短編映画というエンターテインメントに対してどういう印象をお持ちですか?
是枝:ぼくね、映画撮りはじめてすぐ、アメリカのロバート・フラハティー フィルムセミナーっていうのに呼ばれて行ったことがあって、もう20年近く前の話だからだいぶ忘れているんだけどね・・・ある田舎の湖の湖畔に映画の製作者たちが集まって毎日5本ずつ映画観るのね。それでディスカッションしていくっていう。
それは主にはショートフィルムの製作者とドキュメンタリーの製作者だった。
初めて意識的にショート(フィルム)を観たのはその経験が最初じゃないかな。
奈良:どうでした?
是枝:面白かったよ。面白かったけど、その年に来ていたのはね、いわゆるアーカイブドキュメント的なショートが多かったの。それまで発表されているいろんな作品の断片を集めて別の解釈を加えて別の作品にしていくというような、そういうショートムービーが多かったんですよね。それはそれでとても面白かったけどね。その映像をどういう風に2次的に解釈していくかっていう。あの、ドキュメンタリーセミナーなので劇映画的なショートフィルムはそこには来ていませんでしたけど、定着の仕方がずいぶん日本とは違うんだなと思いました。
奈良:こういうショートフィルムがあったら面白いなとか、もしくは是枝さんが撮りたいなと思うものはありますか?
是枝:うわ考えたこともないな・・・。
奈良:すみません 突然。
是枝:でもね、長いもの短いものやってみるといろんなことわかるんでいいんじゃないかなと思う。別に抽象的なこと言っているわけじゃなくて、ぼく連続ドラマというのをやってみて、要するにショートじゃなくてもっとロングなものを自分で全部書いてやってみたんですよ。だからあれ全部で6時間くらいでしょ?映画3本分くらいのものをやったときに、もちろん長編だからこそできることとか長編だからこそ難しいことっていろいろあったんですけど、それを一度経験してみると、2時間でできることっていうのがよりクリアに見えてきたことはあります。
奈良:なるほど。
是枝:だから、ショートをやってみたりすると、2時間と何が違うのか、決まっているわけではないのになぜ劇映画はだいたい2時間なのか、その意味がもう少しクリアになるんじゃないかなっていうのは、連ドラやったら思いました。
奈良:なるほど。
是枝:だから自分の中でそういう可能性というか、機会があるんだったらやってみたいなという気持ちはあります。
ただ、Youtubeとかニコニコ動画とかというのは、たぶん新しい映像のいろんな人たちとの共有の仕方としては可能性があるんだろうと思うけれども、そこで流されたものを映画と呼ぶかどうかというのは、別に呼ばなくてもいいのかなという気はしていて、映画はやっぱりこういう場所で・・・
奈良:是非。
是枝:観るものを映画と呼べばいいんじゃないかと。(苦笑)そこまででいいんじゃないかなと思うんだよな。・・・そうすると映画は滅びるかもしれないけどね。
奈良:うーん・・・
是枝:だけど、ぼくはだとすればそれと一緒にいるっていうつもりですけどね。こういう誰かと一緒に何かを観て、ともに話すっていうのは素敵なことだよね。それは、やっぱりあの・・・やったことないからよくわかんないけどニコニコ動画って見ているといろんな人のコメントが流れてくるんでしょ?あれとは違うよね。やっぱりね。それはやっぱり終わった後に観たものについて同じ時間を共有した人同士で話すっていう時間の豊かさっていうのはたぶんかけがえのないものだと思うので。あまり何かに取って代わるものではないと思っていないから、そこを大事にしたいなと思っています。

出典元:SSFF channel :https://www.youtube.com/watch?v=xRbpe4EBMYs

#6 是枝監督とショートフィルム 参加クリエイターから是枝監督に質問 に続く
▶︎#6 参加クリエイターから是枝監督に質問/配信中 

■映画監督:是枝 裕和
1962年、東京生まれ。87年に早稲田大学第一文学部文芸学科卒業後、テレビマンユニオンに参加。主にドキュメンタリー番組を演出。14年に独立し、制作者集団「分福」を立ち上げる。カンヌ国際映画祭、ヴェネチア国際映画祭など国内外の高い評価を得ている。新作『海街diary』が2015年初夏公開予定。

是枝裕和 監督「カタチを決めない“カタチ”」絶賛配信中!
▶︎#1 撮影現場が生み出す自然体の演技 /配信中
▶︎#2 ドキュメンタリー制作時代から学ぶ完成への輪郭 /配信中
▶︎#3 日常を立体的に演出する声と音 そしてロケーション/配信中
▶︎#4 国内外の違いと普遍性 日本の映画祭の在り方 /配信中   
▶︎#5 是枝監督とショートフィルム 映画を劇場で観るということ/配信中  
▶︎#6 参加クリエイターから是枝監督に質問/配信中 

クリエイターズパーティーとは?
ブリリア ショートショート シアターは、未来の映像作家への登竜門でもある国際短編映画際ショートショート フィルムフェスティバル & アジアと連動しており、クリエイター支援をコンセプトのひとつに掲げています。このイベントでは毎回、様々なジャンルからゲストスピーカーをお招きし、セミナー後にラウンジにて交流会を行っています。このイベントでの出会いが、製作に向けたコネクション作りなど、クリエイター支援はもとより、映像業界全体の活性化に繋がればという想いのもと、このような取り組みを行っています。