【レポート】『カメラを止めるな!』上田慎一郎監督登壇!高校生時代に制作したショートフィルム作品も初上映!

【レポート】『カメラを止めるな!』上田慎一郎監督登壇!高校生時代に制作したショートフィルム作品も初上映!

SSFF & ASIA 2018 秋の上映会では、10月8日(月・祝)、自主映画としては異例のヒットを続ける『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督によるトークイベントを開催しました。本イベントでは、上田監督の学生時代の話から『カメラを止めるな!』の大ヒットに至るまでの経緯などをたっぷり語っていただきました。

SSFF & ASIA 2014にノミネートされた短編『彼女の告白ランキング』を上映後、観客からの大きな拍手の中、上田監督が登場。司会から『彼女の告白ランキング』の製作経緯を尋ねられると「久しぶりにスクリーンで見ましたが、好き放題やってますね(笑)」と感想を述べ、ショートフィルムの魅力について聞かれると、「ショートフィルムはワンアイデアあれば突破できる。『彼女の告白ランキング』は、自分のやりたいことを惜しみなくつぎ込んだ作品という意味で、『カメラを止めるな!』との共通点がある」と振り返りました。

映画制作を始めたきっかけについて尋ねられると「出身が滋賀県の田舎町なんですが、映画館までは車で1時間。町のビデオショップや友人のお父さんの棚からVHSやDVDを借りて映画を観ていました。その後、父に買ってもらったビデオカメラを使って、放課後毎日のように友人と一緒に映像を撮っていました」と語り、「本格的に撮影をはじめたのは、高校の文化祭で、ぼくらのクラスは映画をつくろうということになったんですよ。高校のときにつくった作品は、友人のキャラクターを意識しながらあてがきで脚本を書いたので『カメラを止めるな!』に近いかもしれないですね」と語りました。

また、高校生3年生のときに初めて脚本・監督をした作品で、若者が突然、戦時中にタイムスリップしてしまう戦争映画『タイムトラベル』のメイキング映像と、同じく高校時代に作ったショートフィルム『戦争夢』を初上映。

当時のキャスト選びについて司会から聞かれると「クラスメイトの個性を見てキャスティングしていたのですが・・・現場で次の展開やセリフを考えながら撮っていましたね。高1、2、3、ともにヒロインは自分の好きな子にお願いしていましたね(笑)撮影のモチベーションをあげるには大切ですよ」と笑いながら告白。

高校時代と現在の共通点はありますかという問いに対しては、「いい意味で、遊びの延長という点ですね。一度も監督を辞めたいと思ったことはないですし“スタッフみんなでつくる”という意識は高校生の時からかわっていないですね。『タイムトラベル』は僕が主演もしていたので、自分が演技するときはクラスメイトにカメラを回してもらい周囲のアイデアを取り入れていたので」と、『カメラを止めるな!』にも通じるエピソードを披露。

そして、『カメラを止めるな!』の予告編が上映されると衣装をチェンジして「はい、カメトメモードになりました!」と会場の笑いを誘いました。今後も、これまでの撮影スタイルを踏襲するのかという問いについては「最終決定権は僕が持ちつつも、まわりの意見を取り入れながらやっていきたい。これから商業映画にチャレンジするときにどうなるのかという点は不安でもあり楽しみでもあります」と抱負を述べ、低予算で製作したことも話題の一つではありますが、逆に莫大な予算があったらこの作品はどう変わっていましたかと聞かれると、「予算300万円で無名の俳優だからこそできた映画。衣装は自宅のベランダで血を塗って、、、など、手作りでつくったのですが、みんなで作ったことがひとつに重なっていくところがよかったと思うんです」と語りました。

これからどういう映画作りをしていきたいかとたずねられると、「(自分を越えるという意味では)今年の自分はなかなか手強いですね。(今後の製作過程において)興行収入で上回ることはあるかもしれないけど、本当に密度の濃い3ヶ月だったんで、今後の人生でこれを超える日々を探したいですね」と今後に対する意気込みを語りました。

また、「クリエイターにとって映画祭とは?」と聞かれると、「自主制作作品の映画の出口として、短編映画祭はすごくモチベーションになるし、間のステップとして評価や感想をもらえるのはすごくいいなと思います。映画祭でできた仲間もいる。これまでいただいた賞は準グランプリが多かったんですよ。でも、準グランプリはある意味いいなと。うれしい喜びも悔しさも両方もらえるから」と上田監督のひととなりを覗かせました。

最後は、来場者とともに恒例のゾンビポーズで記念撮影を行い、「『カメラを止めるな!』は誰に何を言われようが、自分のやりたいことをやろうと思ってつくった作品。「この作品の意義はお客さんを楽しませること、それ以外になかった」と挨拶をし、来場者からの大きな拍手で会場は包まれました。

 

SSFF & ASIA 2018秋の上映会は、10月12日(金)まで会場をアンダーズ東京に移し開催中。