【レポート】MILBON BEAUTY MOVIES ショートフィルム上映&トークイベントにヨシダナギさんが登場

【レポート】MILBON BEAUTY MOVIES ショートフィルム上映&トークイベントにヨシダナギさんが登場

米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア(SSFF & ASIA)」と美容室向けヘアケア・化粧品メーカーの株式会社ミルボンのコラボレーションによるショートフィルム配信プロジェクト「MILBON BEAUTY MOVIES」の上映&トークイベントが12月8日(日)、ミルボン本社(東京・京橋)にて開催されました。

今回はフォトグラファーのヨシダナギさんをゲストに迎え、3本のショートフィルムが上映されると共に【美しさを拓く】をテーマに行われたトークセッション。

ヨシダさんといえば、世界の少数民族やドラァグクイーンの撮影をするフォトグラファーとして知られており、特に少数民族の撮影に際しては、現地の人々と同じ格好をするという独特のスタイルは、TV番組などでも取り上げられ、話題を呼んでいます。

この日もヨシダさんのデビュー作であるエチオピア南西部に暮らすスリ族の人々を捉えた写真、最新作だという、南太平洋のマルケサス諸島で暮らす人々や撮影したもの、さらにパリやニューヨークでドラァグクイーンの人々を撮影した写真などが紹介されました。

5歳の時にTVでたまたま見たマサイ族にひと目ぼれ『大きくなったらこれになりたい』と思った

そもそもヨシダさんがフォトグラファーになろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

「私はフォトグラファーになりたいと思ったことは一度もなくて、5歳の時にTVでたまたま見たマサイ族にひと目ぼれして、『大きくなったらこれになりたい』と思ったんです。その初期衝動で彼らを追いかけていたら、後からフォトグラファーという肩書きがついてきただけで、全く写真について知識もなかったんです。私が『アフリカの人、カッコいい!』と思っても、それに共感してくださる方がいなくて、どうやったらそれを伝えられるか? と考えた時、わかりやすく写真だったら共有ができると思って、記録程度に写真に収めていました」と明かします。

初めてアフリカに赴いた際は、専門の旅行代理店を介してツアーを組み、その後、現地のガイドと仲良くなり、代理店を挟まずに直接やりとりをするようになったと言いますが「最初は英語が5単語しかしゃべれなかった(苦笑)」とのこと。

現地の人々と同じ格好をするというスタイルに関しても「私は日本では友達を作る方法はわからなかったんですけど、TVで初めてマサイ族の人たちを見た時、『あ、この人たちとは同じ格好をすれば仲良くなれる』と思ったんです(笑)。アフリカに行った当初は『彼らと同じ格好がしたい』という英語を話せなかったんですけど、通うに連れて少しずつ単語を覚えて、通訳さんにそれを伝えたら最初は止められました(笑)。でも同じ格好をしてみたら、現地の方の態度が180度変わって、すごく喜んでくださったんです。あ、やっぱり小さい時に『同じ格好をすれば仲良くなれる」と思ったあの感覚は正しかったんだと思いました』とその“誕生秘話”を明かしてくれました。

惹かれるのは何かを背負っている人――生き様が顔に刻まれている人

被写体として、少数民族やドラァグクイーンといった存在に惹かれるのはなぜなのでしょうか? ヨシダさんはその理由を「私は自分と違う人ほど興味を惹かれ、『美しいな』と感じるんです。見た目がキレイな方はどの国にもいるけど、私が惹かれるのは何かを背負っている人――生き様が顔に刻まれている人なんですね。そういう人はドラマチックなので立っているだけで雰囲気あるんですけど、そんな人にはそうめったに出会えないんですよね。それが少数民族の人やドラァグクイーンの人たちに共通しているのかなと思います」と説明します。

では、ヨシダさんが考える“美しさ”とはどういうものなのか? そんな問いにヨシダさんは「その人の生き様に尽きるなと思います。生き様は、誰かと比べることもできない、その人にしかないものであり、しかも年々、美しさが増していくものだと思います。その過程を見ていくのもいいなと思うんです」と語ります。

人と比べないこと。『私は私で美しい』という感覚

また、世界中の少数民族の人々と接する中で、日本人とは美しさに対する概念が異なると感じることもあるといいます。「彼らを見ていて『いいな』と思うのは、人と比べないこと。『私は私で美しい』という感覚なんですね。これは日本人だけではないですが、どうしても、みんなと一緒だと安心するという部分、他人と違うメイクをすると変わった目で見られてしまうと気にしてしまう部分がありがちですが、少数民族の人たちは『自分が一番美しい』と思っていて、かといって他人を貶すこともない。そこがまた個性があって美しいなと思います」と他人との比較ではないところに“美”の基準を置くことの大切さを説きます。

同じことはドラァグクイーンの人々の言葉からも感じるそうで「彼女たちも『私も美しいし、あなたも美しい』というふうに、それぞれの美しいがあっていいんじゃないの? ということを言っていて、なりたい姿になれる人というのは、自分の美にも他人の美にも肯定的になれるのかなと思います」と素敵な言葉を紹介してくれました。

ちなみに、世界中を巡る中で、その土地ならではの様々な美容に触れる機会もあったというヨシダさんですが、自身で実践している美容法について尋ねると「年々、何もしなくなりましたね」という答えが…。「昔はいろんなことを試して、少しでも世間に『かわいい』と思われたいとあがいていたんですけど、どんなに頑張っても世間的にかわいくはなれないというのを自覚しまして、そこに囚われている自分が一番苦しいなと思って、そのままの自分でいられれば、健康的で美しいかなと思うようになりました」と明かしました。

一方、世界を巡ることで日本ならではの文化や習慣に改めて気づかされることも多いよう。「世界中のあちこちに行って感じたのが、日本人は『空気を読む』ということがすごく長けているということ。海外では、言葉にしないと伝わらなくて、ひとりになりたい時に、『いまはひとりにして』と言うと、日本人はそこで察して様子を見てくれるけど、海外だと『なんで?』と聞かれて理由を言わないと伝わらないんですね(苦笑)。できれば言わずにいたいことを言わなきゃいけないこともあって、日本の“察する”というのは独特の文化だなと思います」と語りました。

『私は私!』自然体でいることの重要性

この日は、オーストリアの作品で『一歩ずつ』、ウクライナのルーマニア国境近くの村で行われる伝統的な祭りを捉えたドキュメンタリー『マランカ』、そして、ボーイスカウトの少年が親友を家から連れ出すというミッションを敢行するさまをコミカルに描いたカナダの作品『僕らは怖いものなし』の3本のショートフィルムが上映されました。

『一歩ずつ』では、2人のティーンエイジャーが“自分らしさ”を模索する姿が描かれるが、ヨシダさんが感じる“自分らしさ”を尋ねると「囚われすぎないことなのかなと思います。その時、その場で思ったままでいいんじゃないかと。他人の期待や親の願いに応えようとし過ぎないで、『私は私!』で囚われすぎず、ありのままでいられたらいいのかな」と自然体でいることの重要性を口にします。

さらに「パリやニューヨークのドラァグクイーンの方に『ドラァグクイーンの定義を教えてください』と聞いたら、みんな言葉は違えども『なりたいもの、なりたい自分に変身することがドラァグクイーンなんだよ。いま、なりたい自分の姿で生活しているなら、あなたもドラァグクイーンよ』と教えてくれて、見た目というよりマインドの部分なんだなと知ることできました」とも教えてくれました。

せめて自分くらいは自分のことを甘やかして優しくしてあげて

最後に、改めてヨシダさんが思う「心が豊かになること」について尋ねると「数年前からどうしたら心地よく過ごせるか? ということを考えるようになったんですけど、自分のことを肯定してあげること――他人はなかなか甘やかしてくれないので、せめて自分くらいは自分のことを甘やかして優しくしてあげていいんじゃないか? と思っていて、それで心に余裕が生まれて人にも優しくできるんじゃないかと」と語り、会場を訪れた人々に「最近、景気の悪い話や戦争の話、暗いニュースが多いですが、こうやってふとした時間に映画やアートに触れることで、何かを知るインプットになるし、少し心が豊かになる時間でもあると思うので、心が殺伐とした時、ぜひ穏やかになる時間を取り入れていただければ」と呼びかけ、温かい拍手の中でトークイベントは幕を閉じました。

イベントで上映した作品はMILBON BEAUTY MOVIESで配信中および近日配信予定!

About MILBON BEAUTY MOVIES

2022年2月より、ミルボン×「ショートショートフィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)」によるショートフィルム配信プロジェクト「MILBON BEAUTY MOVIES」がスタートしました!

私たちミルボンは「美しさを拓く。Find Your Beauty」をコーポレートスローガンに、「美しさを通じた心の豊かさ」の実現を目指しています。「MILBON BEAUTY MOVIES」では、世界中から厳選したショートフィルム作品をオンラインで配信。心温まる美しいストーリー、心に響く美しい映像や音楽、ワクワク、きらきら、ドキドキ、ほっこり…ショートフィルムで出会える様々な美しさを通じて、ちょっと心が豊かになるような、そんな時間をお届けしていきます。

https://www.milbon.co.jp/fyb-magazine/movie/