Interview with Knut Petter Ryan
準グランプリ(国際部門)の受賞者クヌート・ペッター・ライアン監督(以下KP監督)にインタビューを行いました。
まず始めに、何がきっかけで「Hodett Mit (My Head)」を撮ったのかを聞きました。
「僕が、2年間伸ばしていた髪を切るということを友達に言ったのがきっかけ。髪を切ることに対して、友達のみんながそれぞれいろんな意見を言ってきたんだ。「そこまで伸ばしたんだから、絶対切るべきじゃない」とか、「髪を切った方が良い就職先が見つかるよ」とか。そこで、気づいたんだ。人はどれだけ見かけに左右されているのかって。たかが髪を切るだけで僕自身は変わらないのに。」
Hodett Mit (My Head)は実験映画で、監督自身が100種類もの髪型(長髪姿から坊主姿まで)を披露するストップモーションを基本として作られた映画です。
「これは、35ミリフィルムを1リールつかって撮った作品で、3分の作品を作るのに、5分間分の映像を撮った。ほとんどのシーンが1フレームずつ撮られている。これは、1週間昼も夜もかかって撮影されてね。それで、その間中100度くらいあるんじゃないかって思うほどのスタジオに、ほとんど1週間同じイスに座りっぱなしでの作業だった。もちろんイスに座ったまま寝てたよ。
僕らは、数名のスタッフでこの作品を作ったんだ。ヘアメイクやアシスタントくらいしかスタッフはいなかった。僕が脚本、監督、プロデューサー、俳優を担当したんだ。これが一番大変なことだった。逆回しでフィルムを作ろうとしたから、絵コンテを書いたりそういった作業を監督の僕は丹念にやろうとする。でも、プロデューサーのもう一人の僕が、早く撮り終えろと言うんだ。その中で、いろいろな髪型をしてカメラの前で演技をしなければいけない僕もいて、とても大変だったよ。」
100もの髪型をした彼に、どの髪型が一番お気に入りか聞いてみました。
「モヒカンが一番のお気に入りだね!!あの髪型にした夜、2時間休憩があったんだ。その時、外を歩いたけど、すれ違う人みんなが、拍手したり、声を掛けてきたりして。あれは最高だったよ!」
Hodett Mit (My Head)の次回作は何か聞いてみました。
「夏から新しいショートフィルムを作ってるんだ。今度のものは、太陽についてのフィルムさ。Hodett Mit (My Head)と同じで、ストップモーションの映画で、僕がまた役者として登場する。タイトルはMidnight Sun。ミッドナイトサンとは白夜(ノルウェーでは夏は白夜)のことで、これは僕がずっと撮りたいと思っていたテーマ。でも、単なる自然のドキュメンタリーフィルムとは違ったものを撮りたかった。だから、僕と太陽を撮ったらどうかなって思ったんだ。Hodett Mit (My Head)では僕と髪だったようにね。3日間太陽との撮影をしたよ。これは、今月中に編集作業が終わる予定だ。」
彼は、Hodett Mit (My Head)を制作している時も4本のミュージックビデオを手がけていたが、それは今回も一緒のようです。
「今も前回同様4本のミュージックビデオを撮っていて、その合間にMidnight Sunの編集をしている。この編集が終わったら、LAに移住したいとも考えてる。幸運をゲットするためにね。あと、世界中を旅して、ビデオやCMを作りたい。それで、良い話が思い付いた時に、それを基にした長編映画を撮ってみたいな。ただ、この夢に関しては急ぎたくない。ゆっくりとその夢に近づけたらいいなと思っているから。というのも、ノルウェーの映画産業はとても小さいんだ。だから、国が制作費の50%の援助をしてくれているんだけど、フィルムメーカーという人はたくさんいてね。みんな映画を作るだけじゃ食べていけない人がほとんどさ。だから、ノルウェーでフィルムメーカーとして生きていくにはちょっと難しい。でも、友達のフィルムメーカーと僕らはいろんなことをしたよ。例えば、夜の撮影会といったものをよくやった。いつも編集作業が夜中に終わったりして。そうすると、突然カメラだけを抱えて何かを撮影しに行くんだ。シナリオも何も無しでね。そんな時は一晩中思いついたものを撮影する。その中には結構良いものもあった。完璧とは言えないけどね。あとは、たくさんの監督仲間と集まって、52本のショートフィルムをみんなで撮った。ただ、このプロジェクトはどの規定にも当てはまってなくて結局資金援助を国から受けることはできなかったけど。」
今回の来日が初めての彼に、日本の感想を聞いてみました。
「日本は大好きだよ!ノルウェーとの違いはそんなにないと思う。みんなとても親切だし、日本食が何より大好き。それに、この気候が最高だよ!ノルウェーはいつも寒いからさ。」
SSFFのモットーはLife is shorts(人生は短い)。そこで、彼にLife isに続く言葉を聞いてみました。
そうだな。Life is strange and hard, but I love it.(人生は不思議で大変だけど、でもそんな人生が大好きだよ。)
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