「LIFORK H/Q」内覧会(オフィシャルレポート)

NTT都市開発株式会社は、2025年9月に開業した「原宿クエスト」の4階に、クリエイター向けのシェアオフィス、コワーキングスペースなどを備えた「LIFORK H/Q(リフォーク エイチキュー)」をオープンする。4月1日の開業に先立ち3月27日(金)、報道陣および関係者向けの内覧会が開催された。
同社が「あらゆる場所をもっと楽しく、もっと自由に。」をコンセプトに2018年より展開するシェアスペース事業「LIFORK」の最新物件であり、クリエイターを対象とした新業態となる「LIFORK H/Q」。“H/Q”は「Human Quirks」(多様なクリエイターたちの個性が尊重され、自由に表現できる場)。「Hive of Questers」(探究心を持ったクリエイターたちが集い、実験し、挑戦する場)、「High Quality」(クリエイター同士が集まり、高品質のアイデアや製品などが生まれる場)など複数の意味を持ち、間のスラッシュには“with(共に)”との思いが込められており、「クリエイターの未来とコンテンツを共に創造する」をコンセプトに掲げる。
国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア」など、コンテンツ事業に携わる株式会社ビジュアルボイスを運営パートナーに迎え、多様なクリエイターが集い、創造し、つながる場を提供する。
月額3万円で24時間365日※1利用でき、オプションで専用デスクや登記利用も可能な「Co_WORKING」(会員制コワーキングスペース)、計6部屋の「SHARE_OFFICE」(4~6名用の会員専用シェアオフィス)に加え、Overview Coffee Japanがディレクションを務め、オーガニックコーヒーやシーズナルソーダ、サンドイッチなどが揃ったカフェ「YET」は会員以外の一般客も使用可能で、人と人、人とクリエイションが自然に繋がる場所として、コーヒーなどを楽しみながら、様々なクリエイションに触れられる空間となっている。
※1 ビルの休館日を除く。居住や宿泊目的での利用はできません
さらに、ポップアップショップやギャラリーなどマルチに利用できる「POP_UP & GALLERY」、会議や撮影、パーティなどに使用できる「RENTAL_ROOM」、そして1週間から利用可能で作品の展示・物販を含め、様々な形で使うことができる「RENTAL_SHELF」など、クリエイターたちが用途や目的に合わせ、様々なオプションを活用することができる。

空間設計を担ったのは、ニシイケバレイ、神田ポートビルなどの設計でグッドデザイン賞金賞受賞、建築学会作品選集入選を果たしている須藤剛氏(須藤剛建築設計事務所)。「人とアイデアがゆるやかにつながる新しいクリエイション空間」を目指しており、カフェのカウンターを人々が集い、語り合うことを想定して緩やかなカーブにしたり、カフェテーブルを組み替え、用途に合わせて大小様々な形にできるようにするなど、クリエイターのインスピレーションを刺激するような機能的、かつデザイン性の高い空間にするべく細部にいたるまで趣向を凝らしている。
この日の内覧会では、俳優で「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア」の代表であり、株式会社ビジュアルボイスの代表取締役社長でもある別所哲也氏、須藤氏、坂本龍一の生前最後の映画『Ryuichi Sakamoto | Opus』を制作した映画プロデューサーで、公開中の本施設のコンセプトムービー(https://youtu.be/PL39eyoZWpw)をプロデュースした細見将志氏、そしてオープニングに合わせて「POP_UP & GALLERY」に作品を描き下ろしたクリエイターのYUUKI氏によるトークセッションが行われた。

冒頭、挨拶に立った別所さんは国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア」がおよそ四半世紀前にここ原宿、表参道で産声を上げたことをふり返りつつ「ここに新しいスペースが生まれ、クリエイターが集えるということで、感無量です。長い準備の期間を経て、NTT都市開発のみなさんと、この場所にこういうクリエイティブな空間を作ることができたことは、夢のようです。21世紀のクリエイティブがここでグローバルに花開くような、そういう場所づくりを、NTT都市開発さんと一緒にやっていきたいなと思っています。原宿のけやき並木の成長と四季の彩りを感じられるこの場所で、クリエイティブな出会いづくりをお手伝いをしていけたらと考えています」と語った。

YUUKIさんは「クリエイターを対象とした場所であり、この原宿という土地で、人と自然が繋がって、新しいクリエイティブが生まれるような場所になっていくであろうということをイメージして“Growing Together”というテーマで3作品を描き下ろしました」と明かす。

空間設計を担当した須藤さんは、設計にあたって「このコワーキングスペースが原宿の街の一部であってほしいと思いました」と語る。そして、あえて「未完成な状態(=Unfinished)」をコンセプトにしたと明かし「完成され、完全に用途を与えられた空間というのはクリエイターの能動性や創造性を喚起しないんじゃないか? どのようにでも解釈できるような場所になってほしいと思い、“未完成”ということを考えて設計させていただきました」と語る。
この思いは、施設内の様々なデザインにも特徴的に表れており、ワークスペースを仕切る暖簾(のれん)に、トラックの荷を締めるためのロープを使用したり、植栽用の鉢もあえて無造作な収納コンテナや配管ダクトを転用しており、入口前のエレベーターホールにあるカーテンにも、通常は工事現場などで使用される保護シートを使うなど“現在進行形”で作業が進められている雰囲気が醸し出されている。

細見さんがプロデュースし、WILLIAM TANGが監督を務めた同施設のコンセプトムービーでは、ファッションデザイナーとして働く主人公の女性が「LIFORK H/Q」を介して、多様なジャンルのクリエイター仲間からアイデアや刺激を受け、ここでしか生み出せない新たなクリエイティブを創出していく様子が描き出される。
細見さんは、コンセプトムービーについて「クリエイターがワークする場所というのをどうやって表現していこうか? というのをディレクターと話し合った」とふり返り、「いま、ここにしかない場所」として工事が終わる前のスケルトン状態の「LIFORK H/Q」の空間で撮影を行なったことを明かした。
ジャンルは違えども、クリエイションを仕事とする須藤さん、YUUKIさん、細見さんは、改めて仕事をする環境の重要性について言及。須藤さんは「原宿は、1960年代から自然発生的にクリエイティブな文化が創成されてきた街であり、世界に羽ばたいているクリエイティブ・ディレクターも多くいる場所です。建築設計やデザインの仕事は、内側で閉じてしまうと新しい展開ができないので、クリエイターの輪が広がっていくことで、新しい発想が広がっていくと思います。その意味で、こういう環境が原宿にあることはすごく心強いです」と語る。
細見さんは、実は同施設の登録クリエイター第1号でもあるが、最初に「LIFORK H/Q」のコンセプトを聞いた時点で「僕もここで働きたいです」と登録を即決したという。その理由について「“クリエイターが集まる”というコンセプトは、他のコワーキングスペースやシェアオフィスにはないコンセプトでした。映像をつくるという仕事に関して言うと、いろんな人と関わっていく仕事であり、映像界隈の人たちとは撮影現場などいろんな場所で出会うんですが、他のクリエイターさんたちとなかなか出会う機会がないんです。でも、僕はすごく興味があって、陶芸家さんやガラス細工作られる方、イラストレーターさんといった人たちからインスピレーションを受けながら映像に活かしたい、映像ディレクターさんにそういう人たちを知ってもらいたいという思い、繋がっていきたいみたいな思いがありました。これまで、なかなか出会う場所がなくて、映像界隈だけで終わっていたっていうところで、『こういう場所があるんだったら、広がるな』というのが瞬時に思い浮かびました」と明かし、完成した「LIFORK H/Q」に足を踏み入れ、改めて「すぐにでもここで働きたい! という気持ちになる空間で、純粋に楽しみです。原宿で働くって、学生の頃の憧れでした!」と笑顔を見せていた。
別所さんも、細見さんの言葉に「(クリエイティブにおいて)人と繋がっていく、コネクションしていくというところが重要ですが、その機会があるようでなかなかない」とうなずき、そうした機会を生み出す場として「LIFORK H/Q」が存在する意義を強調する。

YUUKIさんも「私のようにキャンバスに絵を描くようなクリエイションのタイプだと、アトリエにこもってひとりで集中してつくることが多いですが、そこで生まれたものをその“先”で多くの人に届けたいし広めたい。その意味で、その先で誰とどう繋がっていくかが大事だと思います。いまはSNSがあって、発信の方法はたくさんあるんですけど、誰かと繋がるからこそ生まれるアイデア、その化学反応をもって発信することで、自分の想像を超えた面白さが生まれると思います。こういう場所に来るからこそ、得られる気づきもあると思います。内にこもらず、どんどん外に出て、いろんな人に出会っていくようにしたいです」と外との繋がりの大切さを口にした。
須藤さんは、「RENTAL_ROOM」や「POP_UP & GALLERY」の存在にも触れつつ「会員さんが『こんなことをやりたい』と提案したら、可能な限りそれを受け止めてくれる体制が整っていると思います。単に働くための場所ということじゃなく、自分を表現する場所としてぴったりの場所だと思います」と語った。

別所さんは「世の中、コモディティ化され、どこ行っても同じような街づくりになりがちですが、原宿・表参道は独自の進化を遂げており、竹下通りをはじめ、世界に向けた独自の繋がり方が様々なところで生まれている、生き物のような街だと思います。この「LIFORK H/Q」のフロアが、新たなそういった場所、クリエイターが繋がる場所になってほしいと思っています」とこの新たな拠点から世界への発信がなされることへの期待を口にした。

その後の内覧会には、様々なジャンルのクリエイターをはじめ、多くの人々が来場。カフェの一角やコワーキングスペースなど、あちこちでこの日、初めて顔を合わせたクリエイターたちが話し込んだり、新たな展開について語り合う姿が見られ、早くもクリエイターたちが繋がる場としての姿を見せていた。