面白く、魅力に溢れ、良質な人間ドラマが描かれた多くの作品がありました。
私たちは一人の観客としての視点も大切に、作り手の意図を図りながら審査を行い、短い時間の中で力強いメッセージを伝えるようなパンチの効いた作品を高く評価しました。それぞれの作品からは、作り手の思いや映画作りにかけるエネルギーが伝わってきました。
どの作品も力作揃いで楽しませて頂きましたが、中でも特に秀逸だったのは、ショートフィルムでしかありえない、素晴らしいオチのある作品です。
審査を通して感じたのは、長編ともCMとも違う、ショートフィルムだからこそ発想の「自由」が存在するということです。
今後、そのようなショートフィルムがより多く制作されることに期待をしています。
ショートフィルムの短い時間の中で、情感を描き、人の心をここまで掘り下げられるのだ、と深く関心させられました。人間同士の美しい魂の触れ合いが秀逸だったこの作品に優秀賞を贈りたいと思います。
アジアらしい風景の中で出演者のキャラクターがうまく表現されており、そこに生きている一人の男の姿にリアルな哀愁が素晴らしかったこの作品に優秀賞を贈ります。
今回のジャパン部門の作品は、テーマ設定や演出力など総合的に、既存の映像作品などのパターンを超えるような力が今ひとつ足りないように感じました。ショートフィルムは、映像に未来を形作る存在だと理解しています。クリエイティビティをもっと存分に発揮した、自由な表現が出来るのではないでしょうか?荒削りでも、へたくそでも光る挑戦!それを望んでいました。
審査員一同、おおいに悩みましたが、協議の結果、今回は、ジャパン部門の優秀賞該当作品はございません。
しかし、日本のクリエイターたちにエールの想いをこめて、奨励賞を1作品選びました。
海外で映画製作を学び、着実に力をつけた結果が作品に表れていた監督へ、今後の活躍に応援と期待の想いを込めて、この賞を贈りたいと思います。