SHORT SHORTS FILM FESTIVAL & ASIA 2019 CINEMATIC ATTITUDE

HOME ニュース 一覧【レポート】大人の作った世界の不条理、子どものコメディで風刺・・・

NEWS / ニュース 詳細

【レポート】大人の作った世界の不条理、子どものコメディで風刺する『架空の銃弾』

2019/06/04

【レポート】大人の作った世界の不条理、子どものコメディで風刺する『架空の銃弾』

6月2日(日)、二子玉川会場にて「戦争と生きる力プログラム supported by 赤十字国際委員会」の上映が行われました。

世界各地では今この時も、戦争やさまざまな暴力が多くの人の人生を狂わせ、愛する人や平和な日常を奪っています。平和な日本に暮らす私たちが、プログラムの作品に登場するさまざまな境遇の人たちの人生や想いに触れることで、身近な人を思いやり、助け合うことの大切さを感じてもらいたい———という想いで赤十字国際委員会のご協力の下、映画祭ではこのプログラムを4年前から皆様にお届けしています。

前日の「プログラム1」上映に続き、日曜日のこの日は、2つある「戦争と生きる力プログラムsupported by 赤十字」のうち、「プログラム2」から、イラン、スペイン、アメリカ、フランス、オランダなどの7つの作品が上映されました。

上映終了後、アメリカの作品『架空の銃弾』のSean Oliver監督との質疑応答が行われました。ビシっとしたスーツ姿で現れたOliver監督に、司会のDJ JOHNは「まず、Oliver監督にベストドレッサー賞をあげたいと思います」と一言。Oliver監督は元気な声で「コンニチワ!」と会場の皆さんに挨拶されました。

アリゾナ州と拠点とする映像作家 Sean Oliver監督

【あらすじ】
不思議な現象が起きていることに動揺する男の子と女の子。それは世の中にどんどん拡散していき、大惨事に。止まらない「現象」にやがて二人はある発見をする。

 

早速、外国人の観客から質問の手があがり、英語で「この作品のアイデアはどこから生まれたのでしょうか?アメリカの銃規制の問題を訴えたかったのでしょうか」と質問されました。

それに対して、Oliver監督は次のように答えました。

~~~
いいえ。もともとは、何か強く心に訴えるような話ではなく、ジョークとして作ろうと思っていたのです。「もし、願いが叶う魔法があったとして、その願いが周りの人々の人生を苦しめることになれば・・・」という発想でした。このアイデアがずっと僕の頭に6,7年ほどあって、このストーリーが自然と沸いてきたのです。

すると銃規制など様々な問題が関連していると気がつきました。この作品の制作が始まった段階で銃による暴力の議論はありましたが、その後も学校における乱射事件など多く発生しています。結果的に、私が作ったコメディ作品が、銃規制問題により強く関連付けられるようになったのです。

銃規制に対する私たちのスタンスですが、何か特定のメッセージを発信するつもりは無く、どちらかというと、銃規制についての「会話」を生みたかったのです。

いま上映された「戦争と生きる力プログラム」の作品群においては、大人が作り上げた世界の不条理に子ども達が巻き込まれている、という話は多いですね。今の世界は大人が作り上げている訳です。子ども達に、彼らが想像する世界の方が大人の都合で作る世界よりも良い世界なんだよ、ということを伝えるのが大事だと思いました。
~~~

2番目の質問は女性からで、「作品の途中、大人がエアガンで遊んでいるシーンに込めたメッセージとなんでしょうか?」とあり、監督は次のように答えました。

~~~
両親(大人たち)が築き上げた世界がカオスになっている間、子ども達は何処かに追いやられる。しかし、大人たちは子どもたちが何処にいるのか何をしているかも知らない。それはある種のディストピアだといえるでしょうね。その象徴的なシーンとして設けました。

作品のテーマを真正面から描くと、シリアスなドラマになりがちです。私はそこにコメディの要素を入れたかったのです。人生が最悪で暗く、悲しい出来事の中にいても僕は笑いたい。この映画の最大の目的は「希望」を描くことでした。
~~~

今回の来日が人生初めての海外旅行であるということで、Oliver監督にはぜひ、東京での滞在を満喫していただきたいと思います。

この「戦争と生きる力プログラムsupported by 赤十字 2 」は、6月6日(木)表参道ヒルズ スペースオー会場にて20:00の回でご覧いただけます。ぜひ、大きなスクリーンでこのプログラムをご鑑賞ください。

また、オンライン会場では「戦争と生きる力プログラムsupported by 赤十字」から4つの作品が視聴できますので、そちらもぜひ、チェックしてみてください!

https://www.shortshorts.org/2019/ja/online/online_wp.php

PREVIOUS NEWS

PROJECT

Brillia SHORTSHORTS THEATER ONLINE 旅もじゃ BOOK SHORTS BRANDED SHORTS

ARCHIVES