未来の映像クリエイターを応援することをコンセプトに掲げているショートショート フィルムフェスティバル & アジアでは、毎年クリエイターを対象としたセミナーを開催しています。今年のゲストは人気YouTuberのジェットダイスケさんと、HIKAKINさんをはじめ多数のYouTuberが所属するUUUM株式会社代表取締役鎌田和樹さん。新しい動画のプラットフォームであるYouTubeの中で活躍するYouTuberの動画の作り方や見せ方など、動画の革命と未来の映像配信について語って頂きました。
【ゲスト】
ジェットダイスケ氏
主にデジモノ紹介ビデオブロガーとして活動、アルファブロガーアワード2009受賞。
鎌田 和樹氏 (UUUM株式会社 代表取締役)
19歳で上場企業へ入社。テレコムサービス株式会社にてソフトバンクショップを単月1
司会:奈良 太一(SSFF & ASIAプロデューサー)
※6月5日(金)にSSFF & ASIA 2015内で開催されたイベントの動画と書き起こしです。
(ジェットダイスケ氏 動画)
鎌田:これずっとあとNight Lapseが続きますからね。
ジェット:ああそうですか。
司会:なるほど。
ジェット:そうですかって覚えてないです(笑)
司会:これは結構、視聴回数はすごかったんですか?
ジェット:いやそんないってないんじゃないですか?
鎌田:ジェットさんは平均的に一定数をたたきだしてくれるので。
司会:ああ、さすが。ジェットさんは、みんなこういう機材とかガジェットと呼ばれるものにものすごく興味があって?
ジェット:そうですね。もののレビューが中心ですね。
司会:声がすごく楽しそうですもんね。それがたぶん魅力なんだと思うんですけど。ちなみにジェットさんはYouTuberの中では一番の先駆けとして使われた手法として、「ジェットカット」というものがあるとお聞きしたんですけれども、どういうものでしょうか。
ジェット:今ご覧いただいたような感じでね、バチバチと細かく切っていくという。いわゆるジャンプカットですね。それを普通のトークの中にふんだんにやって(入れて)しまったと。
司会:やってしまった初めての人がジェットさんなんですか。
ジェット:そうですね。
司会:すごいですね!
ジェット:本来は怒られる感じですよね。
司会:そうですよね。ショートフィルムと映画的にはナシな、ありえないところにいきますもんね。
ジェット:ナシだなあ。
司会:でまた、テレビとかともまた違うカットですもんね。
ジェット:そうですね。テレビのインタビューなんかだとやっぱりクロスオーバーしますもんね、音声とかちゃんと。僕の場合はもう、前のめりで切っている感じですね。
だからセンテンスの中の息継ぎよりも、次の頭のほうが切って(いるので)早くきちゃうというような。
司会:これ、ちなみにいつどういうきっかけで思いついたんですか?
ジェット:いや、昔ってね、通信環境がそんなによくなかったじゃないですか。そのなかで動画をやっていく上で、ファイルを小さくするってやっぱり重要だったんですよ。
司会:なるほど。
ジェット:見てもらうにしても、やっぱりファイルが小さくないとダウンロードできなので、だからできるだけ間を詰めたという感じです。
司会:なるほど。面白いなあ。
けっこう、僕のイメージの中ではYouTuberの方ってちょっとゆるい感じで作られてるのかなと思っていろいろ観てみたら、ものすごく皆さん作り込まれているんですね。
ジェット:そうですね。けっこう作り込みますね。
司会:これちなみに、今ので何分くらいでしたっけ。・・・1分半くらいですかね。例えばこれで、どれくらいお時間欠けて作られるんですか?
ジェット:これはちょっとTime Lapseとかの仕込みがあったんで、前の晩から撮りはじめて・・・それでも6時間以内にはやってるかな。
鎌田:どっちかっていうと、イメージ的には「あるもをレビューして下さい」みたいなものが非常に多いと思うんですが、最近で言うと体験してくださいみたいなことが増えてきているなあと思っていて。ちょっと5分くらいの動画を見てみたいと思います。
(Masuo TV 動画)
司会:監督と出演者が「視聴ありがとうございました」って、中で言うっていうのは斬新すぎますね。
鎌田:あの、実際に最初に「提供」と入れさせていただいているので企業さんとの取り組みなんですけれど。決してある商品を紹介してくださいというのではなくて、実際にライザップなので2ヶ月間くらい、週に2回のトレーニングをして、ちゃんとその結果がどうなったかっていうのを流してほしいっていう継続的なお仕事をいただいたり(しています)。それはひとつ変わった事例かなあというふうに思います。実際に痩せなくてもそれはそれで動画をのせてもいいですかというともちろんいいですよというところと、結構テレビCMとかタクシー広告とかいろいろ出ているんですが「正直どうなの?」みたいな部分をMASUOさん自身もやってみて、やってみたことによって「あ本当だったんだな」みたいなところを(見てもらう)。(僕自身も)ぶっちゃけそんなことないだろうと無いと思ってましたけれども、(実際に)痩せたっていうのが、視聴者からすると、テレビとかCMとかだけじゃなくて生の声だということでYouTuberの動画を見るということです。これも一本(の再生回数)100万回くらいですね。最後の動画は。
司会:すごいなあ。一本100万回?
鎌田:100万回再生していますね。
司会 鎌田さんやいろんな方が動画を見ていて、共通していえる「これは来るな、バズるな」という動画の(特徴は)あるんですか?
ジェット:基本的に、ネタの鮮度というのはありますよね。
鎌田:そうですね。
ジェット:それからコミュニケーションをうまくやっているものはバズるかなと。
司会:コミュニケーションというのは、コメントとか?
ジェット:コメントとかで直接的にやるのではなくてですね、動画(自体)のコミュニケーション力っていうのはあるなと思っていて。今だったら面白さや感動という指標は既にあると思うんですけど、それよりも共感を得られるものっていうのはバズるかなと思います。
司会:「共感」がテーマになっているんですね、YouTuberさんにとっては。ではやっぱりジェットさんが作られるときに、共感してもらえるような作りになっているわけですね。
ジェット:逆に、共感というのが大切であればそれを外す作り方っていうのもありますし。たとえばさっきのカメラレビューなんかだと「こういう機能がほしかったんだよ」というところを攻めていくのもありですし、逆に「それができるようになっちゃったよ」っていう残念なところもあったりして、まあ両方見せていかないといけないのかなという気はしていますけどね。
司会:やっぱりすごく独特ですね、YOUTUBERさんの作る動画って。個人の視点とか意見というのをストレートに素で発信していくっていうのは、おそらくショートフィルムの監督やここにいるクリエーターの皆さんの感覚でも同じだと思うんですが、何が違うんだろうなあ。なにか違う、新しい感じがしますね。
ジェット:まあ、直接的ですよね。映画表現よりは。
司会:あ、そうか。またドキュメンタリー(的な)。現実にすごく近い。
ジェット:これ(動画)なんか半分ドキュメンタリーですよね。自分で自分のドキュメンタリーを感動的に作ったみたいな感じで。
鎌田:たぶん、タイトルとかで「本当にこの動画は面白いのかな」みたいなことはある程度分かるんじゃないかと思います。YouTubeの場合。
ジェット:タイトルのつけ方ですか。
鎌田:そうですね。
司会:ちなみに、どんどん今UUUMさんのほうでもたしか“簡単に動画が作れる”というアプリをだしたりだとか(いうこともあって)、(YouTuberが)どんどん増えていると思うんです。今鎌田さんが見ている限りでは、(YouTuberの)数っていうのはどれくらいいるのかお聞きしてもいいですか?
鎌田:聞くのはいいですけど、絶対わからないです。(笑)
司会:増えてはいるんですか?
鎌田:よく、どういう基準からがYouTuberなんですかみたいなことを聞かれるんですけど、それって自分での言い方なので、動画一本しかあがっていないけど「YouTuberだ」と言う人もいていいですし、自分でそれを言っていて恥ずかしいか恥ずかしくないかだと思いますね。
司会:やっぱり全体的なYouTubeの動画の中で、顔を出している人というのは少ないものなんですか?
鎌田:ちょっといろんな切り方があると思うんですが、たぶん多いほうですね。なんていう表現がいいんだろうなあ・・・皆さんがイメージしているYouTuberというのは、顔出しをしている人が多いんじゃないかなあと思いますね。ただそれこそ、今カメラをされているABTV Networkさんとか。
司会:今日荻野さんもいらっしゃっているんですか?ABTV Networkの荻野さんです。荻野さんは作られるときに気にされていることだとか(おありですか)。
荻野:そうですね、企業さんの案件に関しては、僕は自由にやる(ようにしています)。普通だとYouTuberの方って、先程もありましたように、自由に、自分の思い思いに作るというのがあると思うんです。ただ僕の場合は比較的、動画を自分のチャンネルにもあげますし、企業様のチャンネルとか、企業様のサイトにものっけるものなので、比較的企業さんの希望に合わせた構成で作って(います)。その中にABTV Networkのちょっと皮肉っぽい、世の中を皮肉るような表現を入れているんですけれども、そういったものを、企業さんが喜ぶようなポイントにちょっとしのばせて。それで企業さんもくすっと笑うし、次の仕事にもつながってくるだろうし。なのでそういういろいろな作り方をしています。
司会:ありがとうございます、荻野さん。
今回、(壇上の)おふたりにショートショートの紹介動画を作って頂いたので、是非皆さん見てみてください。お二人ともすごく素敵な作品を作って頂いて。
(ABTV Network 動画)
鎌田:本人が一切出ていないスタイルですよね。自分で全部アニメーションでされているというのは、本当にABTV Networkさんが、始めてというわけではないんですが広く広げていったんじゃないかなあというふうに思いますね。YouTuberというとさっきの話のように「顔出し」というイメージが強かったと思うんですけど、それを打ち壊したんじゃないかなと思いますね。
司会:いやちょっと。皆さん、ショートショートの公式のホームページの「ニュース」のところにおふたりの動画のリンクがあるかと思うんですけど、全然違うんですよ。是非見てみてください。あれが原点だったんですね。本当にCGアニメーション部門に応募して頂きたいですけどねえ。是非おねがいします。
Kumamikiさん(の映像)もちょっと見せていただいていいですか?
(Kumamiki 動画)
鎌田:実際のここ、入浴シーンです。ちょっと時間があれですけど、最初に見ていただいたとおり、Kumamiさんてめっちゃ編集技術がすごいんですよ。女性で、パソコンがちゃ!ってやって、なかなか(編集)される方って少ないですし、これも企業さんとのタイアップのお仕事にはなるんですけれども、とにかく一緒に仕事をさせていただいた企業さんから絶賛なんですよね。「本当にありがとうございます」みたいな、「こちらこそありがとうございます」みたいな。僕らってもちろん、企業さんから「いついつにから動画を公開してください」とか言われているよりも前に、事前に一回チェックをしていただきたいというようなことが多いんですね。そのときに多少のいい間違いとか、企業さんからしてみるといろいろ気になるところもあるんですけども、Kumamiさんの場合ほぼほぼ一発オーケーですね。細かい直しとか見たことがないなと。
司会:それは何でなんですかね。
鎌田:それは見ていただいた通り、まずは本人が楽しくできているというのが、やっぱり製品を作っている側からしても嬉しいですよね。そういういような形なので、あとは本人が思ったことをそのまま言っていますし、それが視聴者にとっても伝わりやすいような編集になっているので、そこがポイントになのかなと思いますよね。
司会:なるほどね。ちょっとKumamikiさんずるいですよね。
鎌田:ずるいですか?
司会:画面からこう、出てくるこの人の良さというか。やっぱりKumamikiさん見ているとこっちが笑っちゃうんですよね。ABTVさんにはくすっとしちゃうんですよね、「やられた」というか。このおふたりとも、それからジェットさんもそうだと思ったんですが、共通する魅力として、「この人嘘ついていないな」みたいなのがすごくあると思ったんですけれど、そういうところってありますか。
鎌田:皆さんもう、独特すぎますよね。そうだからもちろん有名になっているとは思いますし、素晴らしいことだと思います。本当に独特の空気を皆さんお持ちなので。
司会:なるほど。
Part3「今後の映像配信について」に続く