未来の映像クリエイターを応援することをコンセプトに掲げているショートショート フィルムフェスティバル & アジアでは、毎年クリエイターを対象としたセミナーを開催しています。今年のゲストは人気YouTuberのジェットダイスケさんと、HIKAKINさんをはじめ多数のYouTuberが所属するUUUM株式会社代表取締役鎌田和樹さん。新しい動画のプラットフォームであるYouTubeの中で活躍するYouTuberの動画の作り方や見せ方など、動画の革命と未来の映像配信について語って頂きました。
【ゲスト】
ジェットダイスケ氏:主にデジモノ紹介ビデオブロガーとして活動、アルファブロガーアワード2009受賞。国内外でテレビ・雑誌等の掲載多数。ビデオアート系の映像作家として受賞歴・海外上映なども有。
鎌田 和樹氏 (UUUM株式会社 代表取締役):19歳で上場企業へ入社。テレコムサービス株式会社にてソフトバンクショップを単月100店舗出店。 2011年からはイー・モバイル一次店の代表取締役を務める。 孫泰蔵氏との出会いから衝撃をうけベンチャーの道へ。その後、HIKAKINとの出会いをうけて30歳を手前に独立。
※6月5日(金)にSSFF & ASIA 2015内で開催されたイベントの動画と書き起こしです。
司会 ちなみに私どもの映画祭は、全世界からいろんなショートフィルムが年間5000本以上集まってくる中で、どんどん厳選したショートフィルムを流しているんですけれど、今、ショートフィルムやコマーシャルで言われる「動画」というもの、それから「長編映画」、「PV」、いろいろあると思うんですけど、今後そういう「映像」というジャンルで境目というのはどうなると思います?
鎌田 急になんか・・・(笑)
司会 なぜなら時間が無いからです、Q&Aがあるからです。(笑)
鎌田 そうですか。(笑)僕が今思っていることのまとめとしては、わかりやすいことで言うとテレビCMってYoutubeで再生されるかっていうと非常に再生されないんです。企業さんのチャンネルによくテレビCMが置いてあったりするんですけれども、再生されないですと。それからテレビ局さんのコンテンツも、それこそ再生されているかというと、そうではないケースが非常に多いんじゃないかなあと思っています。一方で今、インターネットで動画をみるというのは、けっこう俗人的な入り方というのが非常に多いんじゃないかなあと。先程のとおり「誰だれが見たい」とか、「どこのチャンネルが見たい」とかって言うことが多いんじゃないかと思うんです。じゃあ垣根がなくなるかというと、なくなるとは思うんですけれども。
アメリカだとVICEという20代の支持率100%くらいのメディアがあったりするんですけれども、じゃあ日本でVICEが流行っているかというとそうではない。皆さんインターネット向けにコンテンツを作ろうとするんですけれど、どうしても上から来ようとするんですよね。
逆にYoutuberってすごく下から、身近さとかっていう表現がさきほどからあると思うんですけど、そこから来ている部分があって、それが時間をかけていくとともに、テレビとは違う、またインターネットでYoutuberなんだけれどもよりクオリティがあがっていくのか。大人の人が見ても楽しめるような動画というのが今後出来てくるとして、それが出来てくると本当に境界線がなくなってくるのではないのかなあと。それが僕がネット動画に対して今思っていることです。
司会 なるほど。
鎌田 時間がなさそうだったんで真面目なことを言ってすっきり締めちゃいましたけど。
司会 全然これから聞きますよ。ちゃんと時間はとってあります。大丈夫です。
鎌田さんのUUUMさんのホームページでクリエイターさんの募集とかもされているじゃないですか。ああいう募集なんかをされているのはそいう意図があるんですか?
鎌田 もっと世の中に、コンテンツ、動画というものを積極的に出されていく人が増えていいんじゃないかなあと思っています。もちろん今こちらにいらっしゃる監督の方もそうですし、あと「Youtubeって見るものだ」っていうのがほとんどの人が思っていることかもしれないんですけど、僕からすると「とにかくやるものだ」と思います。よく美大の方とかとお話しするんですけれど、(彼らは)自分が作った作品はVimeoにあげると。なんでですかって聞くと、理由は無い、Vimeoにあげると。なんかこう、なんでだろうと僕は思ったんですけど。Youtubeって公開されている中でも10億人の人が今すぐ見ているプラットフォームなので、人の評価を得たいんだったらまあ今すぐYoutubeに動画をアップしてもいいんじゃないかなあと。あとまあ音楽でいうとONE OK ROCKとかきゃりーぱみゅぱみゅもそうなんですけど、昔だと路上ラブをしてとか、ライブハウスでとかメジャー契約をしてとか、その過程が、インターネットが出来たことによって自分たちの作品をそのままネットに置いちゃえと。それで日本から評価がなかったとしても海外から評価があって、一気に世界レベルでスターになるっていうことが現実的に起こってきている。それって皆にはできないかというと、(誰でも)今すぐYoutubeでアップロードのボタンを押すだけなのでそ、そういうことがもっと広がればいいなあと思ってクリエイター募集をしていますね。
司会 ちなみにジェットさんの中で、見られる動画っていうのはどういう動画だと思いますか?「動画」というのはやめましょう。見られる「作品」というのはどいういう作品でしょう。
ジェット いろんなノウハウがあると思いますけど、そうですね、ショートフィルムということで言っておくと、30年近く前ですが東京国際レズビアン&ゲイフィルムフェスティバルという映画祭でグランプリをいただいたことがあって、そのあたりから僕は映像を作ったりとかいうことをしています。それをやっていく中で、当然四半世紀前くらいだったらハコを用意して、人を集めてというやり方しかなかったわけですが、95~96年あたりからのインターネットブームによって、その後もう一段階あがってインターネットが早くなってYoutubeみたいなものが出てきたところっていう、2回技術的かつ文化的なブレークスルーがありました。まず最初のホームページブームみたいな、インターネットブームみたいな時に、自分の作品を静止画とかで紹介することが出来たわけですね。ミニコミュ誌であるとか雑誌なんかに広告を出したりとかいう集め方をしなくても、(とは言え)当然それも平行してやっていくわけですけれども、まあそういうのが無くてもほとんどタダで宣伝ができるようになってきたと。で、(その後)実際の作品であるとか予告編も、Youtubeによって流せるようになってきたわけですね。
司会 映画祭って、いろいろな映画があつまってやって、たとえばYoutuberさんの面白い動画はウェブ上でUUUMさんと一緒に開催して、でまた映画はここ(スクリーン)でながして見て、でまた他のフォーマットでも見て、バイヤーさんともコラボしてやって、そうして皆がいろんなストーリーとか物語とかを一斉に見られる期間がであり、そういう面白いものが集まってくる期間があったら、映画祭って面白いなって思っているんですけれども、鎌田さんとしてはやっぱり、いまジェットさんがおっしゃった30分くらいのキックスタートで集めたザ・映画と、Youtuberさんたちが作られる映像との違いっていうものはあると思いますか?
鎌田 答えの切り口にもよるとは思うんですが、ショートフィルムというくくりだけで言うと、あまり無いんじゃないかなと。まあクオリティとかで言うとまた違うことだとは思うんですけど、たださっきの発言で言うと垣根はそのうちなくなってくると思っているので、そういう意味では(近い存在であり得るのではないかと)。僕は今日ここにいるときに思ったんですけれど、映画祭というものがあって「めっちゃすげえな」って素直に感動しているんですけれど、もしなんかYoutuberなんとか祭っていうのが日々本当に上がっている動画の中からあったら、そういうこととかも来年とかあったらすごく面白いなあというふうに思いました。そのときに出てくる作品が、さっきのバッティングセンターみたいなものもあれば、皆さんが想像されているようなショートショートフィルム(フェスティバルの作品)のような限りなく映画に近いものもあったりとか、そういうふうになってきたら僕的にはすごく嬉しいなと思いますね。
司会 本当に皆さんクオリティが高くて、変な話ショートフィルムとしてショートショートに応募して頂けたら嬉しいなという思いもありました、素直に。
ジェット じゃあ部門作っていただけますか?(笑)
鎌田 ジェットさん何部門が必要ですか?
ジェット Youtube部門が。(笑)
司会 そういうことでいろいろコラボしていくのも(面白いですね)。どんどん垣根はなくなっていくので面白いかなと思ったりなんかしながらも時間がきてしまいました。
これからのYoutuber、ジェットさんのご意見として、こういうふうに自分の動画をしていきたいなあ、こういうふうにインターネット業界なればいいのになあみたいなものをお聞かせいただけますか。
ジェット 常に楽しい状況であればいいなと思います。それはですね、最近ね、けっこうおもしろくない状況になってきているのではないかというのがあって。昔はインターネットってわりと自由で、奔放すぎてだめっていう雰囲気はありましたけど、ここに来て法整備とかもちゃんと整ってきて、あの、悪い意味で挑戦的ではなくなったという雰囲気はあると思うんです。しっかりしてきたと。昔だったらね、ウェブサービスなんかにしても、データがすっ飛んで消えたら笑ってごまかせた部分がつい10年ぐらい前まであったと思うんですけど、最近でデータ飛んでなくなったなんていったら大変なことになりますから。そういった部分も含めて、ちょっと窮屈になってきたなあというのはあるんで、できるだけ20年ぐらい前のフロンティア精神を忘れない感じで、そういう感じでやっていく人が多ければいいなあと。そういう環境であれば嬉しいかなと思っています。
司会 うちの代表の別所もよく「ルールが無いのがショートフィルムのルールだ」なんていいますけど。やっぱりそういう、原点のおもしろさとか、作り出すルールの無いところというのはすごく大事だと思います。ありがとうございます。
では鎌田さん、最後に一言いただいて、「それではごらんください」というのはどうでしょうか。
鎌田 僕の作品でもないんですけど。(笑)すごくやりにくいですけど、一言ですか。本当に雨の中来ていただいてありがとうございますということと、それからジェットさんがおっしゃったように、(僕たちの業界は)まだ発展途上だとは思っています。アメリカだと13歳から18歳が「影響あるひとは誰か」と言うと、トップ5とかは全員Youtuberなんですよね。12位にジョニーデップが入ってくるような、20位にレオナルドディカプリオみたいな、そんな状況なんです。でも日本だとYoutuberはアフィリエーターの一部という感じがしていて。僕らからすると監督であり、当然演者でありということなんですが。海外ではビザを取得するときにeスポーツというと取得できるんですよね、アメリカとかでも。だから同じような形で、それがYoutuberなのか映像クリエーターなのかわからないですけれど、「どこかに所属していないと」だとか「企業に勤めていないと」というよりは個人でやっていくということ自体が認知されて、まあ認められるという言い方は変ですけど、そういういふうになっていけばと思っています。またそういうことを僕らも率先して応援できたらなと思います。
司会 ありがとうございます。今後、今日お話しできなかったいろいろなこともUUUMさんのほうでホームページをチェックしていただくと、ニュースが出ていくということですね。
鎌田 そうですね。これであとは、映像を一本流させていただいて。ちゃんとわかりやすいものを流しますので。
司会 では一本おねがいします。
司会 ありがとうございます。そういうことですよね。
鎌田 動画を見てくれれば一番早いんじゃないかなということが言いたかったです。
司会 もう一言いっておきます?
鎌田 おなかいっぱいです。
司会 では皆さん、どうぞYoutube見てみてください。そして鎌田さん、ジェットさん、本日はどうもありがとうございました。
鎌田 ジェット ありがとうございました。