当プログラムの上映後には、イスラエルから「監視役」のNoa Gusakov監督が登場してくれました。現代の戦争の形に迫った内容に、観客席からたくさんの質問があがりました。
作品は、兵役で戦地の監視役を担当する一人の女の子に焦点を当てています。実際、イスラエルでは男性3年、女性2年の兵役義務があるそうで、監督自身の経験や友人たちのエピソードをもとに、アイデアを膨らませていったそうです。
印象的だったのは、仲間の死などハードな体験によって変化する主人公の人格が、顔つきやファッション、部屋の雰囲気などで見事に表現されていたことです。特に、最初は飾り付けやカーテンなどで可愛らしい雰囲気だったベッドサイドが、パイプむきだしの殺伐的な場所に変わり、やがて戦地のモニター画面にオバーラップしていく表現からは、非人道で無機質な戦争の恐ろしさがひしひしと伝わってきました。
また、監視役たちの手足に紐がついて操り人形のように動く幻想的なシーンは、戦時下における人間が、自分の意思とは無関係に、上からの命令のままに任務を遂行する様が象徴されていました。
映画を通じて、私たちが知らないもうひとつの世界について考えさせられる、そんなショートショートシネマでした。